相続税増税後平成27年1月1日以降発生する相続税について考えてみます
江東区大島7丁目にお住まいのAさん(85歳男性)同居しているのは長女B子さん(58歳女性)未婚 子供なし 奥様は7年前に他界しています。
Aさんはここ2年ほどの間に、軽度ですが痴呆状態が出てしまい、介護保険の要介護2の認定を受けました。特別養護老人ホームへの入所を希望したのですが入居待ちが多く、やむを得ず有料老人ホームに入居していました。Aさんの自宅は同居の娘B子さんが変わらず住み続けておりました。
Aさんの財産としては、江東区大島7丁目の土地付き一戸建て40坪132㎡
築50年の平屋・郵便貯金50万円他には特に財産らしいものはありません。
平成27年10月31日Aさん逝去・相続が開始しました。
(財産調査)
土地(路線価)1㎡330,000円×132㎡ |
43,560,000円 |
建物 |
200,000円 |
預貯金 |
500,000円 |
葬式費用 |
△150,000円 |
財産総額 |
44,110,000円 |
(基礎控除)相続人1名 3000万円+600万円=36,000,000円
36,000,000円<44,110,000円 相続税はどうなるでしょう
B子さんは同居で生計一の相続人です。ここで登場するのが小規模宅地の特例です。これは簡単に言うと、相続税を払うために、現在居住している住居を売却しなくてはならない相続人を保護するための特例です。普通に評価すると43,560,000円の土地が評価減80%、つまり8,712,000円の評価で済むのです。これにより財産総額は9,262,000円となり、申告は必要ですが相続税はかかりません。
ところで、B子さんが自分で住宅を持っていて同居をしていない場合、事前に何らかの対策を打たないと相続税がかかる可能性があります。
また、今回お話ししておきたいのが、以前は有料老人ホーム等(終身利用権有)で亡くなった方が所有していた土地に関して、小規模宅地の特例を適用する要件が非常に難しかったのですが、平成26年からの緩和措置で適用が受けやすくなったことです。
①被相続人が要介護認定を受けていること②賃貸用または事業用に使用していないなどの要件はありますが特別養護老人ホーム入居者と同等に小規模宅地の適用を受けられるようになりました。
皆様の身近にせまる相続税増税、備えあれば憂いなし。でありますように。
平林 明子