長年事業をしていれば、色々な苦労があることと思います。
中でも「取引先が資金繰りが苦しいからと売掛金を支払ってくれない」「覚えのないクレームを理由に商品代金を支払ってもらえない。」「すぐに支払いますと言われたのに一向に入金される気配がない。」などという債権回収のトラブルでは、たとえ少額と言えども積もり積もれば中小企業にとって大変な痛手となってしまいます。
そのようなときに相手方に金銭の支払いを求める特別な訴訟手続き制度が「少額訴訟」です。
少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に限り利用することができ、原則1日で結審する裁判手続きです。
手軽にできる理由として以下の点が挙げられます。
① 所定の用紙に簡単な記入をするだけのため、特別な専門知識がない方でも裁判を起こすことができます。
② 長引くイメージのある裁判ですが、少額訴訟は原則として1回の審理で全ての証拠調べや口頭弁論が行われます。つまり何度も裁判所に足を運ぶ必要がありません。
③ また、裁判は費用がかかるイメージもありますが、少額訴訟でかかる費用はおよそ請求額の1%と切手代程度です。
ただし、60万円以下の金額にしか利用できない点、控訴ができない点などデメリットもあります。
また、1人の人や1つの会社が起こせる回数に制限があり、1年間に10回までしか利用できません。この回数を超えることはないと思いますが、一応覚えておくと良いでしょう。
以上、簡単にできる制度ではありますが、まずは直接相手方にこまめに連絡をする、手紙による督促をするなど、できることを実行したのちに検討しましょう。
(廣島 三津子)