中小企業が生命保険を活用する理由は、以下の3点に集約されます。
1.社長に万一のことがあった場合の保障
2.法人税・所得税・相続税の節税及び利益の繰延
3.資産運用
今号は、節税や資産運用については余裕のある会社が検討することですので、優先度の最も高い「社長に万一のことがあった場合の保障」に絞り込んで本質的な部分を解説致します。
考えたくもないかもしれませんが、社長に万が一のことがあった場合、会社にはどのようなことが起こるでしょうか。恐らく以下のようなリスクが想定されます。
1)売上減少
中小企業の営業は、ほとんどが経営者に頼っているのが現状です。その社長が突然いなくなったらどうでしょうか。必然的に資金問題が発生します。
2)経営幹部の退職(ナンバー2の退職)
「社長がいなくなったら、自分も引退する」「私は社長に仕えたのであって、息子・娘に仕えるつもりはない」といったことがよくあります。
事業承継(ナンバー2の資力を含めた育成)がうまくいかなかった場合は、経営者の交代=ナンバー2の交代という問題となります。すると後継者が経営者レベルに達するまでの期間の保障が必要となります。
3)社長退職金の財源
大企業の社長と違って自宅が担保に入っているケースや自分の退職金の準備すら出来ていないケースがあります。今まで長年苦労してきたのに、退職慰労金すらとれないのは、いかがなものでしょうか。少なくとも自分や家族を経済的不安から解放できるくらいの資金は確保しておきたいものです。
4)取引条件の変更
仕入先・金融機関が後継者を信用できないことから発生する問題はないでしょうか。仕入先からはこれまでの手形取引を現金取引に変えて欲しいと要求されたり、金融機関からは早く返済して欲しいと要求されたりする可能性があります。味方だと思っていた金融機関は、自己都合で貸し渋ることさえもあり得ます。
中小企業経営者に万が一のことがあった場合の必要保障額の計算は、社長ご自身の財産状態・扶養家族・保険の加入状況や会社を解散する場合と継続する場合で異なってきますので、各担当者にご相談ください。
(久保 康高)