今年も残すところわずかになりました。経営にとってはますます変化の激しい環境になっています。経営者の皆様は今年一年を振返り、そして自社の来年へのさらなる成長をお考えのことと思います。
拡大戦略を考える場合に、提唱者アンゾフの名前を付けた「アンゾフの成長マトリックス」を用いると比較的考えが整理できますので以下ご案内させていただきます。
アンゾフの成長マトリックス
市場(顧客) |
(新規) |
A.新市場開拓 |
D.多角化 |
既存の製品・サービス等を未開拓の顧客に広げてゆく |
新規市場に新規の製品・サービス等を投入 |
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(既存) |
B.市場浸透 |
C.新製品・サービス開発 |
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既存市場における既存商品のシェアを高める |
既存市場に新しく開発した製品・サービス等を投入する |
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(既存) |
(新規) |
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製品(事業・技術・サービス)・ビジネスモデル |
アンゾフの成長マトリックスは、①市場(顧客)と製品・サービス、②既存と新規の2つの視点を組み合わせることによって4つの方向性から戦略を考える仕組みになっている。市場(顧客)を想定されるニーズの違いによって①地域②年齢・性別③業種④ライフスタイル・・というように細分化し、経営資源の少ない中小企業は、自社の最も得意とする分野に特化・差別化を図り、細かく分けた市場に資源を集中投入することが、経営戦略上最も有効とされている。
A.新市場開拓は、例えば、B2BからB2Cへの展開「自社(食材業)の現在の顧客が③の業種のうち飲食業(鮨屋、居酒屋、レストラン・・に細分化できる)である場合に④のライフスタイル(家庭料理を楽しむ・・)層に提供でいないか」、また、異なる地域への展開「千葉県で培ってきたビジネスモデルを東京の顧客に適用できないか、まず東東京から進出してみよう」等、新市場への展開を図ることである。
C.新製品・サービス開発は、既存顧客の志向をどこまで把握しているかが成功のカギとなる。分かりやすい例でいえば、アマゾンは書籍で事業をスタートして、今では家電・カメラ、ファッション、おもちゃ、最近おせちのご案内がありました・・・、既存顧客の志向を捉えてありとあらゆるものを提供している。
B.市場浸透は、マーケティング力・営業力をいかに強化するかが課題であるが、現在の市場で現在の製品・サービスを提供し続けていると、この変化の激しい時代には生き残りが難しいとさえいわれている。
D.多角化は、経営資源の少ない中小企業にとっては非常にリスクの大きい方法である。
以上のような新しい試みで最も大切なことはそれによって得られるシナジー効果を
図ってゆくかが大切であるとされている。
(廣島 清量)