4月も下旬となり、新入社員の受け入れをした企業はあわただしさが一旦落ち着こうとしているところかと思います。この時期、入社式のニュースなどを目にする機会が多いですが新卒の受け入れ企業を取り上げていることがほとんどではないでしょうか。
中小企業においては欠員を補充する目的などで、時期に関係なく中途採用をすることの方が多いかもしれません。毎年決まった時期の業務ではないため、どのようなことに注意して行うべきか迷うことがありそうです。
今回は、中途採用において注意したい事項をお知らせいたします。
※企業によって独自の基準等を設けていると思いますので、あくまでも参考としてください。
●賃金の決め方
企業と求職者双方にとって一番重要なことと言っても過言ではありません。一般的には、「世間相場」として業界の情報を得ておく必要があります。同じ職種を募集している他企業よりも水準が明らかに低くては適した人材が他へ流れてしまう恐れがあり、そのようなことを防ぐためです。反対に募集の緊急性が高い場合は高水準な賃金を設定してしまいがちですが、既存の従業員との内容を勘案し、冷静に決定するように心がけたいものです。
参考として活用できる資料には、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」、東京都労働相談情報センターの「中小企業の賃金・退職金事情調査」などがあります。
●年齢制限
“男女平等”は、もはや広く知られています。ここでは性別ではなく年齢の話です。特に肉体労働の仕事では、若年者を採用したいと考えていることが少なくありません。事業主には“採用の自由”があり、どんな人を雇うかは自由に決められています。とはいえ、例外の一つに「募集および採用において年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」というものがあります。しかし、定年制による場合や特定の年齢層の雇用を促進する国の施策の対象となる者に限定して募集・採用するときなどは年齢制限を設けることができます。
●入社後の賃金
中途採用者は一定以上の能力や経験を前提に採用され、賃金もそれに見合った基準で決定されることがほとんどでしょう。しかし、一定の期待をして採用したがその期待した成果がみられない場合、賃金は下げてもいいのでしょうか?単に賃金を下げるのであれば、“契約内容の変更”にあたり、労働者の同意が必要となります。他には降格を行う方法も考えられますが人事権の濫用の問題がありますのでいずれにせよ慎重に行う必要があります。
(廣島 三津子)