経営者が会社を譲渡する理由として、「後継者不在を含む先行き不安の解決」が全体の約5割を占めていますが、続いて「更なる発展」という前向きな理由が約3割を占めています。
譲渡企業の業種分布は、直近3~5年に絞り込みますと、製造業が約25%、卸売業・小売業約20%、医療・福祉業約10%、建設業約9%、情報通信業約7%と続いています。
ベスト5の中で、特に多い具体的業種は以下の通りです。
≪製造業≫ ①生産用機械器具製造業 ②金属製品製造業 ③食料品製造業
≪卸売・小売業≫ ①機械器具卸売業 ②建築材料・金属材料卸売業 ③飲食料卸売業
≪医療・福祉業≫ ①調剤薬局 ②医療業(病院)③介護事業
≪建設業≫ ①一般電気工事 ②一般土木建築工事 ③木造建築工事
≪情報通信業≫ ①受託開発ソフトウェア業 ②出版業 ③インターネット利用サービス業
以下では、M&Aを「自社の更なる発展」のために活用し検討することをご提案させて頂きます。時間軸を考慮に入れた上で、自社の強みや特徴を他社で活かせないか(自社が競合他社より優れている点は何か)、自社の弱みを強化・補完してくれる他社がないか(自社が競合他社より苦手にしている点は何か)を中心に、以下の視点を参考に提携効果を考えてみると、新たな展開も豊富になり幅が広がってくるのではないでしょうか。
○垂直型展開
川上(例えば、卸売業から見た場合のメーカー)・川下(例えば、メーカーから見た場合の卸売業)産業と提携したらどうなるのか。
○水平型展開
同業者同士・競合企業と提携したらどうなるのか。
○製品・サービスミックス型展開
他社の面白い製品・サービスとコラボ提携したらどうなるか。
○市場獲得・販路拡大型展開
業界でのシェア拡大、営業地域の拡大、顧客名簿獲得を目的として海外を含む地域的提携をしたらどうなるか。
○新規参入型展開
現状事業の先行き不安のための多角化。
会社の加速度的な発展・活性化のために、M&Aの手法を取る若い経営者も増えてきており、今後も中小企業の人材不足の問題や業界再編の中での企業の生き残りのためには、この傾向はさらに高まると予想されます。また外部環境としても、そのようなM&Aを積極的に行う経営者に融資をしたいという金融機関のニーズもあり、専門部隊の体制も整いつつあります。現在、当事務所提携グループでは、売り手(譲渡希望会社)の情報を約600件程度持っております。ご興味がありましたら、ご案内させていただきます。
(久保 康高)