平成27年度の税制改正で「電子帳簿保存法」の改正が行われ、国税関係書類の「スキャナ保存制度」について大幅な規制緩和が実現されました。
「電子帳簿保存法」とは、国税関係の帳簿書類を、税務署などの承認を条件に電子データとして保存することを認める制度で、以下の3つに分類されます。
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国税関係帳簿 |
国税関係書類 |
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対象 |
・仕訳帳
・総勘定元帳
・補助元帳
・固定資産台帳
・その他 |
●決算関係書類
・貸借対照表
・損益計算書
・棚卸表
・その他 |
●取引関係書類
自社が作成又は相手方から
受領した
・契約書
・領収書
・請求書など |
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要件 |
自社が最初の記録の段階から一貫して電子計算機を使用して作成している等一定の要件 |
一定のスキャナで読み取る等一定の要件 |
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申請 |
①帳簿データの備付
及び保存の申請
(電子帳簿保存法
第4条1項) |
②電子データの保存申請
(電子帳簿保存法第4条2項) |
③スキャナ保存の
申請(電子帳簿
保存法第4条3項) |
今回の改正では③のスキャナ保存についての要件が緩和されました。
1)金額制限の撤廃、領収書・契約書等の3万円未満に限る制約がなくなる。
2)全て電子署名を外し、タイムスタンプのみとする。入力を行う者等に関するログ保存は求める。
3)業務サイクル方式でスキャナ保存を行う場合、該当書類に関する国税関係帳簿が電子帳簿保存法の承認を受けている場合に限る、規制が撤廃された。
4)資金の移動に直結しない一般書類(定型的な約款が記載された契約申込書など)のスキャナ保存については、書類の大きさ情報とフルカラースキャンを不要とし、グレースケールで可とする。
(2015年9月30日以後の申請分から開始)
以上の要件緩和の前提として「適正事務処理要件」を満たすことが必要です。
「適正事務処理要件」とは、
①取引の承認、記録、資産の管理に関して相互けん制が機能する体制であること
②事務処理手続きの定期的な検査を行う仕組みを有すること
③検査を通じて問題が把握された場合、再発防止の体制や手続きの見直しを行う
以上の体制・手続きを社内規定で整備する。
(廣島 清量)