私が顧問先の経営者の方とお話をしていると、給与に関する質問を多く耳にします。その内、年一回の昇給の際に、従業員の賃金をいくら上げたらよいか?周りはどれくらい上げているのか?という質問があります。
毎年の従業員の昇給を行っている会社は、どういった基準で賃金を決定しているのでしょうか。会社の規定に従って決めているケース・将来の収益予想から導き出すケース・知り合いの同業他社からの情報・年齢別の平均年収等を参考にするケース・社長の感覚で決めるケース・・色々やり方はあると思います。
決め方に正解というものが無いだけに、やはり周りの会社の状況が気になるのは当然かもしれません。
平成27年8月28日に中小企業庁より、「中小企業の雇用状況に関する調査集計結果の概要」が発表されましたので、以下に平成27年度の中小企業の月給の引上げに関するデータその他を、それぞれ集計項目ごとに一部ではありますがまとめてみました。※集計対象企業7,352社
賃上げを実施した (実施する予定) |
賃金 引き上げの方法 |
||
引き上げる |
67.6% |
月給 |
93.4% |
据え置き |
30.3% |
賞与・一時金 |
42.7% |
無回答 |
2.1% |
諸手当等 |
13% |
引き上げを行った理由 |
従業員1人~20人規模の引き上げ額 |
||
採用・従業員の引き留め |
47.4% |
6,000円以上 |
41.9% |
業績回復・向上 |
38.1% |
5,000円以上 6,000円未満 |
23.2% |
他社の動向 |
27.3% |
4,000円以上 5,000円未満 |
6.5% |
賃上げの配分比率を高めた年代 |
人員増の方法 |
||
年代による違いはない |
49.1% |
常用労働者を中途採用で |
71.1% |
30代 |
38.3% |
常用労働者を新卒で |
53.7% |
10代~20代 |
28.6% |
非正規社員を増やした |
16.9% |
今回は、賃上げを行った会社の状況について項目ごとにまとめてみましたが、賃上げを行っていない会社も、もちろん沢山あります。その理由として最も多かったのが「業績回復・向上が不十分」というもので全体の約80%を占めます。メディアでは景気回復を誇張するような報道が目につきますが、実際にはまだまだ厳しい状況は続いている事がわかります。
調査内容はこれ以外にも、「地域別の賃上げ状況」や「業種別の賃上げ状況」など、より詳細な内容が掲載されています。あくまでも他社は他社、真似をする必要性は全くありませんが、自社での昇給をご検討の際にご覧になると、参考程度ではありますが多少のヒントにはなるかもしれません。
(斎藤 勝)