マイナンバー制度、最近皆様良く耳にされているのではないでしょうか、事務所通信でも何度も取り上げているのでご存じの方も多いことと思います。これは国民1人1人に番号を割り振る共通番号制度で、正式には「社会保障・税番号制度」といいます。今年10月以降、住民票の住所に12桁の個人番号が送付されています。
相続税の取り扱いをみると、平成28年1月1日以降発生した相続の相続税申告から被相続人及び相続人のマイナンバーを記載することが必要になります。
また、相続人の本人確認のために相続人の個人番号カードの写し、又は通知カードか個人番号記載のある住民票の写し+写真付き身分証明書を添付する必要があります。被相続人の本人確認書類は不要です。
本来マイナンバーは第三者に容易に教えるべきものではありません。親族であっても同様です。亡くなった被相続人のマイナンバーをどうやって調べればいいのでしょうか?住民票の除票に個人番号付きのものを請求することにより解決できるようです。
一般的な相続税の申告手続きでは、被相続人の財産は、相続人からの申出でで調査を行い、明らかにします。相続人が被相続人の財産を全て把握していれば問題は無いのですが、中には全てを把握できていない場合もあり、それらが相続税の税務調査の対象となるといわれています。
平成27年9月3日、平成30年から預金口座にも任意で番号を適用するなど活用範囲を拡大する改正マイナンバー法が衆議院の本会議で可決・成立しました。この時点では任意ですが平成33年には義務化も検討されているとのこと。政府は国民の資産状況を正確に把握し、脱税や年金の不正受給を防ぐ狙いがあるようです。国民一人一人の預貯金残高が全て国に知られてしまうことになります。これにより相続人も知らない被相続人の隠し財産も一目瞭然となるわけです。悪意で隠していたのならともかく把握できないだけで税務調査となり追徴課税されることがありうるのです。一方でマイナンバーは本人しか使用できないので例えば相続人が被相続人の銀行口座を把握すべく調査をすることも出来ない可能性があります。
このような事態を防ぐためにも、自分の財産の管理をしっかりとしたうえで、遺言を作成する(自身の財産を第三者がわかるようにしておく)、また、エンディングノートなどを作成してマイナンバーをはじめ財産を含む身のまわりのことを記録しておくことが重要になってくると思われます。
もしかしたら将来、相続人が一人しかいない場合などで、被相続人の財産を全て把握した税務署から、あなたの払うべき相続税は○○円ですと納付書が送られてくる日が来るかもしれません・・!
(平林 明子)