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個人の生活用資産について損害を受けた場合の確定申告

今年も確定申告の時期が近づいて来ました。そろそろ所得税の還付又は減額を受けるべく医療費の領収書や寄附金の証明書などの準備を始めた方もおられることと思います。

医療費控除や寄付金控除は一般的な所得控除で皆さんにもよく知られているものです。

最近は物騒な事件が多くなっているようですが皆さんの周辺ではいかがでしょうか?

災害・盗難・横領によって、生活用資産に損害を受けた場合に所得の減額ができる「雑損控除」についてご紹介させていただきます。

 

「雑損控除」とは災害・盗難・横領によって、生活に通常必要な資産(生計を一にする親族の資産も該当)について損害を受けた場合に受けることができる所得控除です。

具体的には、①震災、風水害、冷害、雪害、落雷などの自然現象の異変による災害 ②火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害 ③害虫などの生物による異常な災害 ④盗難 ⑤横領・・・を起因として生じた損失が対象となります。

控除できる金額は、次の計算式で計算した金額(㋑、㋺)のうち多い方です。

㋑(損失額*+災害等関連支出*-保険金等)-(合計所得×10%)

㋺災害関連支出-50,000円

*損失額は損害を受けた時の直前におけるその資産の時価を基準として計算した額

*災害等関連支出とは「災害関連支出」+「盗難や横領により損害を受けた資産の原状回復のための支出」

*損失が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後3年間繰り越すことができる

なお、上記①~③の災害に該当する場合で一定の場合は災害減免法による所得税の軽減免除の制度との選択適用が可能です。

 

具体的事例

●①に該当・・家屋が雪の重みで倒壊するのを防ぐために行う雪おろしの費用

●その災害により直接被害を受けた資産の金額はもちろん、災害1年以内にその災害に関連して支出する費用なども対象になります。台風が通過した後の土砂や障害物を除去するための費用や、火災の場合に類焼者に支払う賠償金などが該当

●③に該当・・シロアリなどの害虫による被害

●④に該当・・空き巣やひったくり、車上荒らしによる被害(詐欺や強迫による被害は対象にならない)

なお、雑損控除の対象となる資産は「生活に通常必要な資産」であることが要件となっているので、別荘や1組あたりの金額が30万を超える書画骨董、貴金属などは対象となりません。また、事業用資産、山林なども対象となりません。

(廣島 清量)

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