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相続した実家の空き家問題と税金

数年前から、全国的に空き家が増えて社会問題になっている。統計局の調査によると平成25年時点の全国の空き家数は約820万戸と、総住宅数の13.5%にも達している。

主な原因として考えられるのが核家族化によるもので、親世代と別居する子供世代が増えたため、実家を相続しても空き家のまま放置される。さらに、解体すると固定資産税が高くなることも一因となっていた。

1)空き家の問題

空き家を放置すると、次のような問題がある

イ)荒れることで倒壊の危険や周囲の美観をそこねる ロ)空き巣に狙われる

ハ)犯罪者の温床になる ニ)放火の危険性がある ホ)当然、近隣住民の迷惑になる

~空き家の解決策としては、次の方法が考えられる~

イ)実家に子供が住む ロ)実家を譲渡する ハ)実家を貸す ニ)実家を建て替える

2) 税金の問題

空き家を放置していると

建物があると固定資産税が優遇されていましたが、平成27年に「空き家対策特別措置法」が施行され、「特定空き家等」に対する市町村の改善勧告があると、土地に対する固定資産税の優遇措置が除外され、土地の固定資産税が最大で4.2倍も増額される。

空き家を譲渡すると

譲渡益(譲渡収入-購入金額等)に対して20%の税金が課される。「土地ドットコム」によると全国の平均公示価格(坪)は平成28年63.03万円、平成3年(バブルのピーク時)195.49万円、昭和55年30.40万円となっている。土地の購入が昭和55年以前であれば今年売却すると倍近い譲渡益となる(実際の取引価格と公示価格は違うが価格変動比は近い)。そこで今年の税制改正で次の制度が創設された。

空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例

相続開始直前に被相続人が居住していた家屋とその敷地を、相続により取得した個人が平成28年4月1日から平成31年12月31日までに譲渡(家屋を除却した後の土地の譲渡を含む)をした場合には、その譲渡益から3,000万円を控除することができる。

[制度の適用要件]

①  相続の時から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡すること

例えば、平成25年1月の相続であれば平成28年4月1日から平成28年12月の間に譲渡すれば適用される。

②昭和56年5月31日以前に建築された家屋(マンション等を除く)であること

③相続の時から譲渡(除却)の時まで家屋(土地)を事業、貸付、居住用にしていない

④家屋ごと譲渡の場合は家屋が地震に対する安全規定、基準に適合していること

⑤譲渡対価の額が1億円以下であること

⑥地方公共団体の証明書を確定申告書に添付が必要

⑦譲渡所得の特例(相続税の取得費加算特例)との選択適用となる

(廣島 清量)

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