●建物の耐震化に対する助成制度
先月熊本地震がおき、現在も自宅で生活できない状態の方がおおぜいいらっしゃいます。
地震の情報を耳にして、地震に備える必要性を感じ、ご自宅の耐震化について考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
建築物の耐震化は、そこにお住まいの方の生命を守るだけでなく、建物の倒壊によって道路が塞がれ避難や救助の妨げとならないように、災害時の安全性の確保につながることから、各区市町村において、耐震診断、耐震改修などに要する費用の一部を助成する制度を設けている場合があります。
例えば江東区の場合、木造住宅耐震診断・耐震補強助成制度というものがあります。
1)無料木造住宅耐震診断(一次診断)
以下の要件を満たす建物に診断士を派遣し無料で耐震診断を行います。
①戸建の住宅(併用住宅も含む) ②平屋建て又は2階建て ③昭和56年5月31日以前に建築されたもの ④ その住宅に所有者が居住していること。
2)一次診断の結果、耐震性に問題があることが判明した場合に、更に詳しい二次診断、補強計画及び耐震補強工事を行った場合にはその一部を助成します。
◇二次診断・補強計画作成・・・要した費用全額(助成限度額10万円)◇耐震補強工事・・・要した費用の2分の1(助成限度額150万円) 助成のための要件や助成額は自治体により異なるのでお住まいの市役所や区役所にお問い合わせください。
●万が一被災した時の支援制度
被災者の生活再建を促進するために災害見舞金や住宅損壊見舞金等の公的支援制度を受けることができる場合があります。公的支援や民間支援、を受ける場合には各市区町村が被害状況の証明をする罹災証明書が必要になることが多いので、できるだけ早く申請をしたほうが良いでしょう。
また、地震などで被害を被った場合、地震保険でカバーすることはできますが、損害の全額をカバーすることができることはほとんどありません。保険金でカバーすることができない場合には、支払った所得税や住民税の全部又は一部が戻ってくる「雑損控除」又は「災害減免法による所得税軽減免除」を受けることができます。「雑損控除」とは災害等によって資産について損害を受けた場合に保険金などにより補てんされる金額を超える一定の金額の所得控除を受けることができるというものです。
所得控除額は損害を受けた資産の時価、損害を受けた資産の原状回復のために支出した金額及び滅失した住宅などを取壊し、又は除去するために支出した金額を基に計算しますが、損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には翌年以降(3年間が限度)に繰越して各年の所得金額から控除することができます。「災害減免法による所得税軽減免除」とは災害によって受けた住宅や家財の損害金額(保険金などにより補填される金額を除く)がその時価の2分の1以上の場合に、その年の所得税の4分の1から全額を軽減又は免除されるというものです。(所得金額1000万円以下の方)
(水田 裕之)