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空き家を売却した場合の譲渡所得の3,000万円特別控除の適用要件

    平成28年分の税制改正において新設された「空き家に係る譲渡所得の特別控除」制度について、平成28年3月31日、租税特別措置法の改正政省令が公布されました。税制改正大綱に掲げられた適用要件(Vol.557及びVol.562参照)の他に新たに追加された要件もあるため、適用要件の再確認と改正政省令等により明らかになった要件についてご説明いたします。

 

①相続の開始があった時から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲

渡すること。

たとえば、平成25年1月2日から平成26年1月1日に相続が開始していた場合には、平成28年4月1日から平成28年12月31日までの譲渡が対象となります。

②家屋をそのまま売却する場合(耐震リフォームする場合を含む)は昭和56年5月31

日以前に建築された家屋(マンション等区分所有建物を除く)であること。

③家屋をそのまま売却する場合は地震に対する安全性規定・基準に適合していること。

④相続開始の時から売却の時まで、あるいは家屋の除却(解体)時までに家屋及び土地

を事業用・貸付用・居住用に利用していないこと。

⑤地方公共団体が発行した「空き家等証明書」を添付すること。

⑥納税資金確保のために相続税額の取得費加算を利用していないこと。

⑦譲渡対価の額が1億円以下であること。

 

今回の改正政省令ではさらに、本特例の対象となる被相続人居住用家屋の譲渡において、本特例の適用期間内に分割譲渡する時に、「適用前譲渡※1」及び「適用後譲渡※2」の合計額が1億円を超える場合には、本特例を適用しない旨が明記されました。

※1適用前譲渡

相続の時から、本特例の適用を受ける者の対象譲渡をした日の属する年の12月31日ま

での間に行う収用交換等を除いた家屋等の譲渡

※2適用後譲渡

その対象譲渡をした日の属する年の翌年1月1日から、その対象譲渡をした日以後3年

を経過する日の属する年の12月31日までの間に行う対象譲渡資産一体家屋等の譲渡

 

上記対象期間の通り、制度創設前に開始した相続(小規模宅地等の特例を受けた土地等)であっても特例の適用対象となりますので、実家を相続し空き家処分をする際には適用要件をきちんと確認し、最大約600万円(3,000万円×20.42%)の節税をされることをお勧めいたします。        

(久保 康高)

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