内閣官房(まち・ひと・しごと創生本部事務局)及び経済産業省は連携して、昨年4月から、「地域経済分析システム:RESAS」(以下、リーサス)の提供を開始した。
既存統計や官民が集積しているビックデータを集約し、産業構造や人口動態、人の流れ、消費動向など地域経済に関するデータを簡単にグラフ等により「見える化」し分析してくれる。
リーサスの目的は自治体による地方創生の取り組みを情報面から支援するためであるが、すべて一般公開され、国民の利活用を推奨している。
現在、リーサスで扱う「マップ」と呼ばれる分析カテゴリーは「産業」、「地域経済循環」、「農林水産業」、「観光」、「人口」、「消費」、「自治体比較」の7つがあり、各マップに複数の分析メニューが用意されている。
サイト(https://resas.go.jp/)の「産業マップ」をクリックして、例えば、江東区を選択→製造業→グラフをクリックすると棒グラフが出てきて、江東区では金属製品製造業が「従業者数」で最も多いが食料品製造業が「付加価値額」と「労働生産性」で上回っているという結果が出てくる。
「地域経済循環マップ」を選択→生産分析をクリック→東京都の特別区→業種別の生産額の構成図が出てくる。特別区では生産額の多い順からサービス業→運輸・通信業→卸売・小売業→金融保険業→不動産業→建設業・・・となっている。
「観光マップ」の外国人訪問分析を選択、国籍別訪問者数のグラフで東京都では中国、台湾、韓国・・・の順であるが石川県は台湾、アメリカ、香港・・・の順となっていて興味深い結果がでている。
「人口マップ」の人口の自然増減→江東区を選択→合計特殊出生率と人口推移をクリックすると1980年から2040年までの人口推移グラフが出てくる。我が国は人口減少が続いているが、江東区では2005年から人口が増え続け2040年まで増え続ける予想になっている。千葉市は2005年から2015年まで増加、2020年から減少になっている。
「消費マップ」の消費花火図→東京都を選択、構成図が出てくる。2015年の東京都で消費された商品のうち、金額ベースで最も多いのが「アルコール飲料」10.83%、次に「菓子」7.71%といったことが分かる。
「自治体比較マップ」は分析メニューが最も多い、その中の企業数を選択、グラフで江東区、千代田区、新宿区を見てみる。いずれも企業数は減少し続けていることが分かる。
以上、リーサスのほんの一部をご紹介いたしました。使う人や使い方によって得られる情報や気付きも異なるし、使いこなすには学習や試行錯誤が必要になる。今年の3月25日に3回目のリリースがあるなど、今後も改良が進み、また、活用事例なども出てくる、リーサス(RESAS)に注目です。
(廣島清量)