最近、熟練経理担当者が退職し、その対応に苦慮しているという情報をよく耳にします。また、平成28年3月10日、商工会議所が発表した「中小企業の経営課題に関するアンケート結果」によると、売上拡大に取り組む上での課題として71.6%の企業が「人材の不足」と回答したそうです。このような人手不足感が強まっている経営環境において、組織体制の不備を補う方法として、社内業務のアウトソーシングがあります。
以下、アウトソーシングを検討する上での考え方についてご紹介させていただきます。
アウトソーシングを利用する上で最初に考えることは、自社が持っている他社にはない強みや中核となる技術・スキル・ノウハウは何かということです。売上拡大のためには、その中核となる部分に自社の経営資源を集中し、重点的に投資していく必要があります。逆にそれ以外の周辺・補助業務については費用対効果や業務品質の向上の観点からアウトソーシングの対象となるかどうかを検討します。
アウトソーシングに適した業務は、一般的に次のようなものがあります。
①高度な専門知識や資格が不可欠な業務(法務・会計、システム開発・WEB構築など)
②人材育成に膨大な時間と費用がかかる業務
③時代や経営環境の変化、法改正などによる変更が激しい業務(人事労務など)
④時期によって繁閑の格差が大きい業務
⑤反復定型業務(給与計算・経理、配送・在庫管理、営業、販売促進など)
⑥24時間対応の業務(受付など)
⑦秘密漏洩を心配する業務
アウトソーシングを利用する上での留意点(欠点)は次のとおりです。
①業務の移管コストがかかり、移管した後の質的業務管理をする必要がある。
②人(スタッフ)にノウハウがつくために、社内にノウハウが蓄積しづらい。
③何でもかんでもアウトソーシングに依存すると自社の存在意義を見失う可能性がある。
④アウトソースする業務を担当していたスタッフの士気低下の恐れがある。
新たな人材を探すのに時間、手間・労力、コストがかかるとお悩みでしたら、税務・会計だけでなく経理・給与計算・人事労務に関する業務を当事務所へアウトソーシングするのも中核業務(本業)に集中する一つの手段としてご検討頂いた方がいいかもしれません。間違いなく御社の成功を願っている存在であるため、業務依頼しやすいのではないでしょうか。
(久保 康高)