地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)とは、企業が自治体に寄附をすると税負担が軽減される制度です。内閣府が認定した「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」に対する寄附を行った法人に対し、寄付金の3割に相当する額の税額控除の特例措置がなされます。これまでも、自治体への寄附は、全額損金算入という形で、寄附金の約3割に相当する額の税負担が軽減されていましたが、この企業版ふるさと納税と合わせて寄附額の約6割に相当する税額が軽減されます。具体的には、利益を出している企業が100万円の寄附をすると、約60万円の税額が軽減され、実質負担額は約40万円となる制度です。
~留意事項~
①まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」へ寄附を行うことの代償として経済的な利益を受け取ることは禁止されています。
②自社の本社が所在する地方公共団体への寄附については対象外。この場合の本社とは、地方税法における「主たる事務所又は事業所」を指します。
③次の都道府県、市町村への寄附については対象外
(1)地方交付税の不交付団体である都道府県、市町村
(2)地方交付税の不交付団体であって、その全域が地方拠点強化税制の支援対象外地域とされている市町村
平成28年度において対象外となる関東周辺の地方公共団体は下記の通りです。
東京都、埼玉県戸田市、三芳町、千葉県市川市、浦安市、東京23特別区、立川市、武蔵市、三鷹市、府中市、調布市、小金井市、国分寺市、多摩市、羽村市、瑞穂町、神奈川県鎌倉市、藤沢市、厚木市、寒川町
④1回当たり10万円以上の寄附が対象
⑤寄附の払込については、地方公共団体が「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」を実施し、事業費が確定した後行うこととなります。
また、本税制の対象となる寄附は、確定した事業費の範囲内までとなります。
~個人でふるさと納税をした場合との違い~
個人がふるさと納税(寄附)をした場合は、寄附金額のほとんど(寄付額から2千円を控除した金額。上限あり。)が所得税・住民税から控除され返礼品などを受け取ることができます。しかし、企業が寄附をした場合は、返戻等は原則禁止とされ、入札や許認可で便宜を図ることなども禁止とされています。企業版ふるさと納税は、個人でふるさと納税をした場合と違い、寄付した金額の約4割が税負担となるが、返礼品で実質得をするというものではなく、メリットとしては、特定の自治体に寄附をして、それをPRすることにより、企業イメージを向上させる使い方などが考えられます。
(伊藤 淳二)