マイナンバー法が施行されてから、10月5日で1年を迎えた。地方自治体が配布する「通知カード」が約170万所帯に届いていないようで、運用面で問題になっている。マイナンバーを使用する事務手続きは、雇用保険の手続きについては既に使用されているが、税や社会保障のその他の事務手続きは、来年(2017年)から利用が本格化する。
そこで今回は、マイナンバー制度についてもう一度確認をしてみたい。
1)マイナンバーはどのように利用されるのか
国や地方自治体などが、社会保障分野(年金、労働、福祉、医療、介護、その他)、税分野(国税、地方税)、災害対策分野において効率的な情報の管理・利用や迅速な情報の授受を実現するために利用される。例えば、税務署の情報と年金事務所の情報が一元化され、管理・利用される。また、近い将来に金融機関を通して、預貯金、証券、保険などに付番を開始する予定であり、個人の金融資産が一元管理されるだろう。
2)企業が行うべき対応は
国や地方自治体が社会保障分野、税分野で情報の効率的な利活用を行うために、企業は健康保険、厚生年金保険、雇用保険の手続き行う場合、税に関する法定調書等を提出する場合には従業員から収集したマイナンバーを記載することが必要となる。
雇用保険は2016年の手続きから適用が開始しているが健康保険、厚生年金保険、税についての事務手続きは来年(2017年)からとなる。
なお、企業は上記の利用以外(例えば従業員の整理番号に利用)に利用することはできない。したがって、提出先としては国や地方自治体に限られる。
3)企業が行うべき準備は
上記のように、マイナンバーの記載が必要となるため、企業はマイナンバーの収集をしなければなりません、つまり、すべての従業者とその扶養親族のマイナンバーを収集する必要がある。また、・顧問税理士や・賃貸契約を締結している個人の家主、・その他についても法定調書提出のために、マイナンバーの収集が必要となる。
マイナンバーの提供を受ける際は、成りすましを防止するため、厳格な本人確認が義務付けられている。本人確認には、マイナンバーが正しい番号であることの確認(番号確認)及びその者がマイナンバーの正しい持ち主であることの確認(身元確認)が必要であるとされている。
4)企業が行うべきマイナンバーの安全管理
収集したマイナンバーは情報漏えいがないよう厳重に注意して保存する必要がある。そして、従業員が退職するなど提出書類の作成事務の必要がなくなった場合は法令で定める保存期間を経過したら速やかに廃棄する必要があるとされている。また、マイナンバーに関する責任者と事務担当者を決めて関係者以外がマイナンバーを取扱うことのないようにする必要がある。
(廣島 清量)