個人型確定拠出年金の加入範囲が平成29年1月1日以後、これまでの加入対象者に加えて、企業年金加入者や第3号被保険者(専業主婦等)に拡大されます。個人型確定拠出年金とは、毎月決まった額を積み立てて、その資金を自分で運用しながら老後の備えをする公的制度です。
運用先は元本保証のある銀行の定期預金や元本保証がない反面リターンが見込める投資信託など様々なものが用意されています。自分自身で決めるため運用益・元本割れのリスクも自己責任になります。
国民年金、厚生年金と組み合わせることで、老後に向けた資産形成が可能になります。
・個人型確定拠出年金の主なメリット
1)毎月の掛け金は全額所得控除
現在加入している年金制度により上限額がありますが、その範囲内であれば全額が所得控除の対象になり、毎年の所得税・住民税の節税になります。
【上限額の例】
厚生年金加入のサラリーマン等の場合月額23,000円(年間276,000円)
国民年金加入の自営業者等の場合月額68,000円(年額816,000円)
2)年金を受け取るときも控除が受けられる
拠出した時に所得控除が受けられる反面将来年金を受け取ったときには所得に加算されます。
ただし、一時金として受け取るときは退職所得となり退職所得控除を受けることができ、年金として受け取るときは年齢に応じて公的年金控除を受けることができます。
3)運用益が非課税
拠出し運用される投資信託の分配金、定期預金の金利などの運用益が非課税となります。
4)自己破産しても財産が残る
確定拠出年金法第32条で差押えできない権利とされており、仮に自己破産をしても財産は没収されず老後に年金を受け取ることができます。
・個人型確定拠出年金の主なデメリット
1)60歳まで解約(現金化)できない
確定拠出年金は年金なので途中で解約して現金で受け取るということはできません。ただし、掛け金の変更は可能なので苦しくなったときには減額をするなどの対応はできます。
2)利用には手数料がかかる
加入時に「口座開設手数料」と運用期間中毎月数百円程度の「口座管理手数料」が」発生します。
3)元本割れの可能性がある
確定拠出年金は自分でどの商品を選ぶかによって運用結果が異なることになり、利益が出ようが、損失が出ようが自己責任になります。
将来の年金を国にまかせるだけでなく、自己責任で収入がある現役時代に所得控除を受けながら年金資産を積立て、老後に備えることも必要かもしれません。
(水田 裕之)