江東区亀戸の税理士|ひろしま会計グループ

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ひろしま会計グループ

人材の未成熟・成熟の7つの次元

人材育成でお困りの経営者は、人材格差が企業格差、モチベーションの質が成果の質とお考えのことでしょう。今号では入社後の人材の7つの次元についてご紹介いたします。

エール大学やハーバード大学で教鞭を執ったクリス・アージリス行動科学者は、マズローの欲求5階層説を基礎にして、人間は成熟の程度に応じて、それぞれ成長の方向に向かって自らの欲求を表明し、労働の過程で自己実現を目指す「自己実現人」であると仮定して、組織の中の人間行動を説明しようとしました。人間が年を経て成熟する過程に下表7つの人格的変化があると考えました。

(未成熟)

(成熟)

受動的

能動的

依存

独立

単純な行動

多様な行動

浅い興味

深い興味

短期的な展望

長期的な展望

従属的

対等・優越

自己認識の欠如

自己統制

 

 官僚的組織など伝統的な組織には人間を未熟なままに置く条件が揃っているようです。テーラーが唱えた科学的管理法の基礎である仕事の専門化、命令の系統化、指示の統一、統制範囲の原則(Span of control)などは、権威が少数のトップに集中するべきであるという考え方に基づいています。

   アージリスは、人間を機械の部品のように見做す考え方をとると人間の成熟化を阻害してしまうことにもなりかねないとしてある実験をしました。専門家が指示した工程に従って働いていた12名の女性工員に対して、一人一人好きなように製品を組み立てるように提案しました。製品に自分の名前を書き、自分で梱包するなど、現在のボルボの生産方式とかセル生産方式と言われる組み立て方を取りました。実験開始後1ヶ月は女性工員がこれまでと大幅にやり方が異なり、混乱したため70%も生産性が低下しましたが、その後回復し、15週目の終りには過去最高の生産高を記録し、ミスや無駄によるコストは94%、苦情件数は96%も減少しました。

 この実験から個人の責任を拡大することが個人にとっても組織にとっても有効であることが分かります。また組織はスタッフの自己実現欲求の満足化のプロセスと組織目標の遂行プロセスとを一致させるようにすることが重要になります。

   これらのことから、アージリスは職務における能力発揮の機会を増やす「職務拡大(職務の水平的拡大)」と「職務充実(職務の垂直的拡大)」や職務内容の決定にメンバーを参加させ、集団討議を経て集団的決定を行う「感受性訓練(sensitivity training)」「参加的リーダーシップ」の必要性を主張しました。この場合、メンバーの不安も取り除かれ、参加意識を持つことで士気が高まり、業績も良くなるようです。言われないことまで、知恵を出してやる自己実現レベルの働き方をする成熟人材の育成へ向けてのヒントとはなりませんでしょうか。 

税理士 久保 康高

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