日ごろ私がお手伝いさせていただいている相続ですが、当然の話として、相続の開始以前には介護という問題が存在しています。今回はそんな介護の問題を取り上げてみようと思います。
平成29年1月より「改正育児・介護休業法」が施行されました。今回の改正は介護離職を防止するために、介護休業中心の内容となっています。今後、介護の問題が急増することが予想されることもあり、厚生労働省では、「企業における仕事と介護の両立支援実践マニュアル」、「介護支援プラン」策定マニュアルの二つのマニュアルを作成し、公開しました。
①企業における仕事と介護の両立支援マニュアル
企業が従業員の仕事と介護を支援するために取り組むべき事項を、「介護離職を予防するための仕事と介護の両立支援対応モデル」として五つにまとめています。
1)従業員の仕事と介護の両立に関する実態把握
2)制度設計・見直し
3)介護に直面する前の従業員への支援
4)介護に直面した従業員への支援
5)働き方改革
このマニュアルはそれぞれの取組について、必要性や具体的に取り組むべきことを理解し、企業での取り組み事例や取り組む際に有用なツールを「お役立ちツール」として紹介しています。
②「介護支援プラン」策定マニュアル
介護に直面した従業員のニーズに応じた両立支援の取組を行うために、従業員の円滑な介護休業の取得・復帰や仕事との両立を支援するポイント等を解説しています。具体的にはこのマニュアルには「介護支援プラン」のモデルが複数盛り込まれており、その他、管理職(上司)向けの参考資料として、両立支援制度の利用者に対する対応の流れや、説明時の注意点などの情報がわかりやすくまとめられています。
決して避けて通ることのできない介護の問題。国も本腰を入れて、介護離職を防止しようと取り組みを進めていくようです。他人ごとではありません。後悔のない介護を実現させるためにも仕事と介護を両立しながら安心して働くことができる雇用環境を整備していく中で、是非、これらのマニュアルを活用したいものです。
相続診断士 平林 明子