経営学者のP.F.ドラッカーは、企業が成長発展し続けるための基本的機能の一つに「イノベーション」を挙げている。「イノベーション」は、「これまで世の中になかった新しい発想のビジネスを創出すること」などと解釈されている。
昨年12月に文部科学省から発表された全国イノベーション調査ではイノベーションを以下の4種類に分けて分析している。
①プロダクト・イノベーション
新しい製品又はサービスの市場への導入
②プロセス・イノベーション
製品又はサービスの新しい生産方法、配送方法・流通方法やその支援システムの導入
③組織イノベーション
新しい組織の機能の実現(社外との関係も含む)
④マーケティング・イノベーション
新しい販売促進方法、販路や市場の開拓の実現
イノベーション実現企業の割合(%)文部科学省科学技術・学術政策研究所第4回調査報告
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全体 |
小規模企業 |
中規模企業 |
大規模企業 |
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イノベーション実現 |
40 |
38 |
47 |
59 |
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イノベーションの種類 |
プロダクト・イノベーション |
12 |
11 |
16 |
27 |
プロセス・イノベーション |
15 |
14 |
20 |
28 |
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組織イノベーション |
24 |
22 |
29 |
42 |
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マーケティング・ イノベーション |
22 |
21 |
23 |
31 |
※常用雇用者数10人以上の民間企業約40万社を対象に標本抽出した約25千社が対象
※小規模企業:10人~49人、中規模企業:50人~249人、大規模企業:250人以上
分析結果では、イノベーションの種類別にみると、企業の規模に関係なく「組織イノベーション」の割合が高くなっている。納得のいく結果だと思う!何故ならイノベーションは人が行うものであり、目的をもった人の集まりが組織であり、あるイノベーションの前後には大抵は「組織イノベーション」を伴うであろうことが想像される。
そこで、上述の「新しい組織の機能の実現」に至るまでのアクションの詳細を調べてみると、新しい・・①組織活動のコミュニケーションの仕方、②人と人とのつながりを作り、相互の連携関係の構築、③意識(思考・判断・価値観)改革、④めざす目的やテーマを自ら設定し共有する、⑤イノベーションを促進する組織内環境と条件を整えるマネジメントへの転換・・などが挙げられる。上の表からは小規模企業の22%、中規模企業の29%がこれらに挑戦し実現していることが分かる。
税理士 廣島 清量