相続税の申告をしてから通常1~3年以内に税務調査を受けることがあります。
税務調査の目的は、①申告漏れの遺産がないかどうかの確認、②申告されていない生前贈与がないかどうかの確認に重点が置かれています。
平成26年分の相続税申告件数は約56,000件だったのですが、平成27年事務年度において調査対象となった件数は11,935件で約1/4が対象となっています。また申告漏れ確認割合は約82%(9,761件)と高い割合となっています。
調査日数は事案により様々ですが、通常半日から1日が多いようです。相続相関図とお亡くなりになられた方(以下被相続人)の略歴等を元に調査で尋ねられることは次の通りです。
- 被相続人の生い立ち・職歴・趣味
- お亡くなりになった経緯(病気・事故・入院期間・要介護期間)
- 財産の管理は本人が行っていたか否か(認知症などの発症の有無の確認)
- 過去の大口預金引き出しの使途についての質問
- 相続人が使用していた印鑑・筆跡の確認
- 家族名義の通帳などの確認
- 権利書などの保管場所の確認(土地の権利書にて過去と現状の分筆状況の確認)
- 被相続人がどのように生計を立てていたかの確認
- 被相続人と同居していたか、生計を一にしていたかどうかの確認
- 被相続人の相続財産がどのように形成されていったかの確認
- 税理士への申告書作成依頼の経緯
※調査の最後に確認事項として質疑応答記録書に署名・押印することとなります。
~調査を受ける前に準備・確認しておくべき書類~
3年分の預金通帳、相続人が使用していた印鑑、葬式費用の領収書・請求書、
被相続人と同族会社間の貸借が分かる総勘定元帳、金銭消費貸借契約書、端株(単元未満株)の保有有無(平成21年1月5日の株券電子化以前取得の株券は証券会社ではなく株主名簿管理人である信託銀行に確認が必要)など
~調査を受ける前に準備しておくべきこと~
①大口預金の出入りに、相手先と内容がメモされているかどうか。
②多額の現金が自宅に保管されていないかどうか。
③相続人の誰が調査に対応するのか(適任者の選定)
④調査を受ける際の部屋の確保
⑤「贈与したことにする」ではなく、実際に贈与(双方に贈与認識があり相手が処分可能)があったかどうか。
被相続人の事情によって税務調査への対応方法は異なりますので、事前に各担当者へご相談ください。
税理士 久保 康高