今回は2016年度中小企業白書の中に書かれていた「稼げる企業」という文言が目に止まり調べてみたところ、以下の様な事がわかりました。
「全体的な取引構造の変化」
1995年では、常時取引している親事業者が5社以下の割合が70%程度であったが、2014年には、60%以下まで減少している。他方で、20社以上の割合は、1995年には10%程度であったが、2015年には、17%程度まで増加している。以上から、下請事業者の親事業者に対する依存率は下がっており、かつ、取引額が多い親事業者への依存度も減少傾向にある。
「投資行動の調査結果」
★「稼げる企業」は、総じて、売上高に対する投資割合が高いことが特徴の一つといえる。「稼げる企業」は、収益を得ることで投資を行い、成長に向けた基盤を整備する、という好循環が生まれている。
★「その他の企業」を見ると、従業員一人当たり売上高の平均は高水準にあるものの、経常利益率の推移は低水準である。また、売上高に対する投資割合も全体的に低い。まずは費用の削減が重要な課題である。
「経営者の外部環境の変化への意識と成長意識の調査結果」
★収益力が低い「自己資本比率の高い企業」や「その他の企業」は、「市場の価格競争が激しくなっている」や「市場のニーズが多様化している」、「人口減少により市場が縮小している」、「同業他社との競争が激しくなっている」への回答割合が高く、市場の変化を好ましくない状況と捉えている企業が多い。
★収益力が高い「稼げる企業」や「経常利益率の高い企業」は、「技術・サービスの質が高度化している」に多く回答しており、自社の技術・サービスと市場の動向を見極めている傾向にある。
「成長への意識調査結果」
「積極的に投資していく必要がある」や「成長にはリスクを伴う行動が必要であるし、積極的にリスクを取るべきだ」は、若い経営者ほど高い傾向にあり、逆に、「自社の成長は市場の成長に依存している」や「リスクを伴ってまで成長はしたくない」は、シニア層ほど高い傾向にあるが、これは事業の将来への引き継ぎについて見通しが立たない状況下においては、正しい経営判断ともいえる。
「まとめ」
稼ぐ力のある企業には、経営者がビジョンを明示し、従業員の声に耳を傾け、人材育成や、業務プロセスの高度化、段階的・計画的な投資等を行っているという共通点が見られます。
(斎藤 勝)