シェアリングエコノミーとは、インターネット上のプラットフォームを介して、賃借や売買、交換する事でシェアしていく新しい経済の動きで、中小企業白書2017年版では、3,000社以上を対象とした意識調査で、回答者の1割が利用者達をつなぐプラットフォームの提供者として事業参入を検討していると回答しています。
また、日本・アメリカ・イギリス・ドイツ・韓国・中国の計6カ国において、各1000人をモニター対象とした、認知度や利用意向調査のアンケート結果によると、代表的なサービスである「民泊」については各国とも高い割合を示しているが、「その他のシェアリング事業」については、日本は5割を下回っており、他国の7割~9割という回答率と比較すると、認知度がまだ低い様子が伺えます。
総務省の予測では全世界において2013年の段階で150億ドルだった市場規模が2025年には3350億ドルと、約20倍以上に拡大すると見込まれており、日本国内の経済効果は10兆円台と試算されています。
現在ではシェアリングエコノミーの領域としては主に以下の様なサービスが存在します。
- モノに関するシェア・・フリーマッケット等での貸し借り及び売買
- 空間に関するシェア・・普段使っていないスペースもしくは使わない時間帯での貸借
- 移動に関するシェア・・カーシェアなどの配車・相乗りサービスやサイクルシェア
- お金に関するシェア・・魅力的な事業に投資を行うクラウドファンディングなど
- スキルに関するシェア・・空き時間を利用した労働力・技術などの貸借
中小企業経営者がこのシェアリングエコノミーを自社の経営に取り入れるべきかを検討する場合、利用者をつなぐプラットフォームを提供する立場というよりは、まずは利用する立場として検討するケースが多いと思います。
例えば、会社で保有している不動産やスペースを貸したり、稼働していない設備機械を貸し出すなど、提供側として本業以外での副収入を得る事はもちろん、自社に不足しているスキルを持った人材の提供を受けるなどが考えられます。
さらに、スキルに関するシェアの代表格であるCrowdWorksやLancersには法人もスキルの提供側として登録しており、多くの業務とのマッチング機会を得ている様です。仕事の依頼内容を見ますと単発業務に限らず、継続的な取引を希望する案件も散見できます。新たな取引先の開拓には、まず相手といかにして接点を持つか?が重要ですが、人材や技術の貸し借りを通して繋がる事ができれば、新たな販路開拓手法としての活用も考えられるかもしれません。
日本ではまだまだ法整備が追いついていない面もあり、様々な規制が障壁となっている様ですが、今後ますます普及していく事は間違いなさそうです。
(斎藤 勝)