「スタッフの行動に繋がる計画・戦略を立てるにはどうしたらよいのか」というご質問をよく受けます。実行計画の質を高めるためには、スタッフへ外部環境(マクロ環境)をきちんと伝え、危機意識を植え付ける必要性が出てきます。そこで今号では、PDS(PDCA)のサイクルを回す前に有効なPEST分析というマクロ環境分析のフレームワークをご紹介いたします。
PEST分析とは、経営戦略の立案やマーケティングを行う際に活用し、自社を取り巻くマクロ環境(外部環境)が、現在または将来にどのような影響を与えるか、把握・予測するフレームワークです。
PEST分析はマクロ環境(時代の潮流)をPolitics(政治的要因)、Economy(経済的要因)、Society(社会的要因)、Technology(技術的要因)の切り口で分析し、ビジネスの機会・脅威や課題の仮説を見出すのに有効です。
Politics:政治的要因 | 規制など市場のルールを変化させるもの
・法律、法改正(規制緩和) ・税制、減税・増税、補助金制度、特区制度 ・政治、政権交代 ・政治団体、デモ ・裁判制度 |
Economy:経済的要因 | 景気や経済成長など価値連鎖に影響を与えるもの
・景気動向 ・経済性成長率 ・物価 ・為替、株価、金利、原油価格 ・消費動向 ・賃金動向 |
Society:社会的要因 | 人口動態・ライフスタイル・生活者の意識の変化など需要構造に影響を与えるもの
・人口動態、密度、構成 ・流行、世論、社会的事件 ・世帯 ・老齢人口・少子化 ・宗教、教育、言語 |
Technology:技術的要因 | ITなど競争ステージ・成功の鍵に影響を与えるもの
・インフラ ・IT活用 ・AI ・IoT ・イノベーション ・特許 ・ブロックチェーン ・新技術、技術開発 ・ビッグデータ |
これらの切り口で分析を行うことで、どこに、どうやって参入するか、撤退するか、将来生じるであろうことに備えることができ、スタッフへの説得力も増します。柔軟かつ機動的なスタッフの実行計画に繋げるためにもマクロ環境(外部環境)を整理するツールとして活かしてみてはいかがでしょうか。
税理士 久保 康高