平成30年6月8日にデジタルファースト法案が政府より公表され、今秋の臨時国会へ提出される予定です。この法案が無事に通過すれば法人設立に必要な手続きが簡素化され、起業までの期間が大幅に短縮される予定です。2018年度から定款をスマートフォン(スマホ)で認証できるようにし、2019年度にも複数の手続きをインターネットで一括申請できるシステムが導入されるようです。
現状、申請者は、登記ねっと(法務局)、e-TAX(税務署)、eLTAX(地方自治体)、e-Gov(労基署・ハローワーク・年金事務所)というようにそれぞれのシステムでの操作が必要で、何度も同じ情報を入力しないといけないという煩わしさがあります。これが2019年以降は申請者が政府のオンラインサービスに一括申請することにより必要な手続きが1回で済むようになるようです。
登記事項や定款の認証をオンラインでできるようにし、法人設立の手続きは24時間以内に完了にできるようにするそうです。ちなみに電子政府世界最先端国のエストニアでは18分で登記が完了し、イギリス・フランス・カナダでは1日以内を実現しています。定款の認証をパソコンやスマホ経由で行えば公証人へ支払う5万円の手数料も不要となります。
政府は日本再興戦略のKPIとして2020年までに世界銀行が発表するビジネス環境ランキングにおける先進国(OECD加盟35カ国)中3位以内(日本は2018年総合24位)を位置付け目指しています。
※ビジネス環境ランキングは、事業活動規制に係る法人設立、建設許可、電力事情、不動産登記、信用供与、少数投資家保護、納税(社労)、輸出入、契約執行、破綻処理の10分野を選定し、順位付けされています。
これらのオンラインワンストップサービスを享受する前提としてマイナンバーカードが必要です。マイナンバーカードを取得し電子証明書の届け出をすれば法務局へ代表者の印鑑届を提出する義務も廃止される予定です。
当社は、今後デジタルファーストの実装状況を見守りつつ、実装情報を発信し、起業家がアイデア・ビジネスモデルを思い付いてすぐに全力疾走できる環境の一翼を担いたいと考えております。起業アイデア・ビジネスモデルを思いつきましたら、各担当者に手続きの簡素化状況も含めてご相談ください。
税理士 久保 康高