従業員を採用したとき、どのような雇用形態をとっていますか。一般的には、3カ月くらいの試用期間を経て、正社員にされている会社が多いような気がします。
◆「試用期間」とは
企業が人材を採用した後に、入社後の一定期間を区切って採用者の能力や適性、勤務態度などを見極める期間のことをいいます。企業は試用期間中であっても、採用者を簡単に解雇することはできません。入社から2週間以内であれば、即時解雇が可能とされていますが、2週間を過ぎますと試用期間中でも、通常30日前の解雇予告を行う、またはそれに相当する給与を支払う必要があるとされています。(ビジネス用語集より)
会社側は、試用期間はあくまでもお試しの期間で、試用期間中に問題があれば本採用拒否という選択肢があると思っていますが、上述のとおり、試用期間中といえども一度採用した人に辞めていただくことは、かなりハードルが高いのです。
◆「有期雇用契約」とは
企業と労働者があらかじめ期間を定めて雇用契約を結ぶもので、有期契約労働者は、雇用契約で定めた期間だけ働き、契約期間の満了とともに終了するのが原則です。(契約期間中に解雇することは「やむを得ない事由」がある場合のみで、期間の定めのない労働者を解雇するよりハードルが高いと言われています。また、雇い止めとみなされない為に、むやみに契約更新を繰り返さないようにするなど実際の運用には注意が必要です。)
また、「有期契約労働者」が関係するものとして、厚生労働省が実施する雇用関係の助成金の中に、経営者から一番の人気を得ているキャリアアップ助成金の正社員化コースがあります。この助成金は、「有期契約者、パート・アルバイト、派遣社員」などを正規雇用労働者に転換、または直接雇用した場合に助成されます。
<参考> 「正規労働者(いわゆる正社員)」とは
法律上の用語ではないので、特別な定義はありませんが、一般的には、雇用期間の定めがなく、解雇されたり、自ら退職しない限りはずっとその会社で定年まで働き続けることができる労働者のことです。最近は、短時間正社員、勤務地限定正社員など多様な働き方ができる「正社員」の種類もあります。
「有期雇用契約」をそのまま「試用期間」に置き換えることはできませんが(裁判で争ったときに、実質は本採用拒否と同じ扱いと解釈されるため)、まず、有期契約労働者として採用し、リスク軽減をはかり、働きぶりがよく、会社に必要な人材と思われる場合、助成金なども利用して、正社員にすることも選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。
社会保険労務士 神山 真由美