国税庁はこのほど、「平成29事務年度における法人税等の申告(課税)事績の概要」を公表しました。
それによると、29年度(平成29年4月1日から平成30年3月31日までに終了した事業年度)における法人税の申告件数は289万6千件で、申告所得金額の総額は70兆7677億円、申告税額の総額は12兆4730億円となり、申告所得金額の総額については前年度に比べ7兆2928億円(11.5%)増加し、8年連続の増加となりました。なお、申告所得金額の総額は過去最高となりました。
また、黒字申告割合は34.2%と前年度に比べ1.0ポイント上昇し、7年連続の上昇となりました。
黒字申告一件当たりの所得金額は7,150万円となり前年比7.1%増となりました。その一方で、申告欠損金額も増加しています。申告欠損金額は、13兆7,101億円となり前年比15.1%増、赤字申告1件当たりの欠損金額は719万円となり前年比15.3%増加しており、企業業績の二極化がうかがえる結果となっています。
①法人税の申告事績状況
|
28年度 | 29年度 | ||
件数等 | 件数等 | 増減 | 前年対比 | |
申告件数 | 2,861千件 | 2,896千件 | 35千件 | 101.2% |
申告所得金額 | 634,749億円 | 707,677億円 | 72,928億円 | 111.5% |
申告税額 | 112,372億円 | 124,730億円 | 12,357億円 | 111.0% |
黒字申告割合 | 33.2% | 34.2% | 1.0ポイント | |
1件当たり所得金額 | 66,787千円 | 71,500千円 | 4,713千円 | 107.1% |
申告欠損金額 | 119,162億円 | 137,101億円 | 17,939億円 | 115.1% |
1件当たり欠損金額 | 6,238千円 | 7,194千円 | 956千円 | 115.3% |
また、平成29事務年度(平成29年7月1日から平成30年6月30日までに納付があったもの)における源泉所得税等の税額は18兆1517億円で前事務年度に比べ1兆1138億円(6.5%)増加し、2年ぶりの増加となりました。
主な所得についてみると、給与所得の税額は3602億円(3.4%)増加し10兆4858億円。配当所得は3485億円(8.9%)増加しています。
②源泉所得税等の税額の状況
28 | 29 | ||||
税額 | 税額 | 増減額 | 前年対比 | ||
給与所得 | 104,858億円 | 108,460億円 | 3,602億円 | 103.4% | |
退職所得 | 2,362億円 | 2,310億円 | ▲52億円 | 97.8% | |
利子所得 | 3,365億円 | 3,711億円 | 346億円 | 110.3% | |
配当所得 | 39,140億円 | 42,625億円 | 3,485億円 | 108.9% | |
上場株譲渡所得 | 2,353億円 | 5,580億円 | 3,227億円 | 237.2% | |
報酬料金等所得 | 12,098億円 | 12,255億円 | 157億円 | 101.3% | |
非居住者等所得 | 6,203億円 | 6,576億円 | 373億円 | 106.0% | |
合 計 | 170,379億円 | 181,517億円 | 11,138億円 | 106.5% |
(水田 裕之)