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中小企業・小規模企業のM&A事情

M&Aというと、大手企業や海外企業が行うものというイメージがありますが、最近では業種を問わず中小企業がM&A事業承継を目的に行う事例が増加しています。

さらにここ1年、オンラインでM&Aをうたう会社が激増しており、企業買収がネットでできる時代が到来しています。

バトンズという日本最大の小規模M&Aマッチングサイトでは、ここ1年間で2万人以上が利用しているという。譲渡企業のプロフィールはというと年商では1.5億円以下97%、5,000万円以下が31%とのこと、また、債務超過の企業が55%であるという。

このように小規模企業でも、また、債務超過の企業でもM&Aの対象になるのであるが、ではM&Aの動機はどのようなものがあるのか、譲渡側と買収側に分けて、以下に掲げてみました。

~譲渡の動機~

経営者にとって、「事業の継続」、「社員の雇用」、「取引先との関係維持」は重大な関心ごとです。そこで引退する時期を迎えるにあたり、次のような理由により、親族や役員・社員に託すことが難しい場合、事業を「第三者に託すこと」、すなわち「M&A」を選択します。

①後継者としてふさわしい人材が育っていない

②会社の跡継ぎとなる親族がいない

③先行き不安業種であるため継がせたくない

④親族に承継する意思がない

⑤役員・社員では株式の買取資金の調達や個人保証・担保提供ができない

また、最近では若い経営者で、別の事業への転換を図りたい場合などM&Aを考える人が増えているそうです。

~買収の動機~

会社買収の考え方のポイントは、「時間をリスク少なく買える」ことです。すなわち、会社の買収は「必要な顧客、販売拠点、人材、ノウハウなどを一括して取得できる」手段です。

この方法は収益がすぐに見込め、ゼロから事業を立ち上げる場合と比較して、時間とリスクがはるかに少なくて済みます。

また、既存事業と買収事業のシナジー(相乗)効果によって、収益機会の増加やコストカットを通じた成長が実現可能となります。

今後ますますM&Aが、中小企業・小規模企業の経営戦略として盛んに行われるようになってくるでしょう。ただ、M&Aには、譲渡側と買収側、双方とも、幾つかのリスクを伴うことも確かです。このことについては、次の機会にご説明させていただきます。

税理士 廣島 清量

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