相続の現場でお手伝いしておりますと、様々なケースに出会う事があります。
今回は短期間に連続して発生した相続の相続税申告時の注意点についてお話します。
被相続人(財産を残して亡くなった方)が死亡した後(一次相続)、遺産分割協議や移転登記、名義変更が済まないうちに、相続人が死亡して次の相続(二次相続)が開始された状況を数次相続といいます。似ている言葉で相次相続があります。後述します。☆
~数次相続時の相続税申告における注意点~
1)申告と納税義務が引き継がれる
国税通則法及び相続税法では、申告義務のある人がその申告書を提出前に死亡した場合、その相続人が申告及び納税義務を引き継ぐことが規定されています。
2)相続税の申告期限が延長される
相続税の申告期限は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内となっています。ただし提出義務者が提出期限前にその申告書を提出しないで死亡した場合、その相続人の申告期限は、提出義務者の死亡を知った日の翌日から10カ月以内に延長されます。(相法27②)(死亡していない相続人はこの期間延長は適用されません。)
3)基礎控除は変わらない
相続税の基礎控除額は(3000万円+600万円×法定相続人の数)で計算されます。
一次相続、二次相続ともその発生した時点での法定相続人の数で計算しますので普通の相続と変わりありません。
4)相次相続控除が受けられる
☆相次相続控除とは、被相続人が相続開始前10年以内に、相続等で取得した財産に相続税が課されていた場合に、その被相続人から財産を取得した人の相続税額から、一定の金額を控除する制度です。同じ財産に相続税が二重に課税されることで負担が過重になるのを調整する制度です。数次相続だけに適用されるものではありませんが数次相続では相次相続控除の適用を受けることができる場合があります。
5)「配偶者の税額の軽減」、「小規模宅地等の特例」の適用
数次相続では、「配偶者の税額の軽減」、「小規模宅地等の特例」を考慮して遺産分割すると、一次相続、二次相続全体の相続税の軽減につなげることができます。
※「配偶者の税額の軽減」とは、被相続人の配偶者が相続した財産の価額が、1億6000万円と配偶者の法定相続分相当額のどちらか多い金額まで相続税がかからないという制度
※「小規模宅地等の特例」とは、相続した事業の用や居住の用の宅地等について一定の要件に該当すればその評価額が一定割合で減額される制度
亀戸・錦糸町相続サポートセンターでは様々な相続税申告をお受けいたしております。
どうぞご安心の上ご相談いただきますようよろしくお願いいたします。
相続診断士 平林 明子