経済産業省は「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」の策定に当たり次のような理由を述べています。
サービス業(非製造業)は、現場でサービスを提供する「人」が付加価値の源泉です。人口減少社会の下で人手不足が顕在化する中、良い人材を確保し、スキルを身につけて定着してもらうためには、相応の賃金とやりがいある職場が必要です。つまり売上をしっかり確保し、賃金も利益も確保する経営を目指す必要があります。
このためには、従業員1人当たり(もしくは時間当たり)の生産性を上げることが必要です。すなわち、「労働生産性」の向上です。 |
労働生産性とは「1人当たりの付加価値額」のことで次の算式で表します。
1人当たり付加価値額 = 付加価値額(※)/ 従業員数(もしくは労働時間) |
(※)付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)
生産性を上げるということは、以下のように考えられます。
生産性向上 = 付加価値の向上、革新ビジネスの創出 / 効率の向上 |
すなわち、労働生産性の向上には次の2つの方向性が存在します。
①付加価値の向上・・・提供するサービスの価値を増大させる(売上向上)
②効率の向上・・・・・時間や工程の短縮(コスト削減)
「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」では、売上向上を目指す場合、「客単価を上げる」、「客数を増やす(新規顧客を増やす、リピーターを増やす)」、「商品回転率、客席回転率を上げる」といったことを考え、それらを実現するための次の10項目の手法を示して其々具体的な事例を掲げています。
①付加価値の向上 |
(誰に) | 1)新規顧客層への展開
2)商圏の拡大 |
(何を) |
3)独自性・独創性の発揮
4)ブランド力の強化 5)顧客満足度の向上 6)価値や品質の見える化 |
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(どうやって) | 7)機能分化・連携
8)IT利活用(付加価値向上につながる利活用) |
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②効率の向上 | 9)サービス提供プロセスの改善
10)IT利活用(効率化につなげるための利活用) |
税理士 廣島 清量