7月の参議院選挙で2019年10月に消費税率を10%に引き上げることを公約に盛り込んだ自民党が改選議席の過半数を上回る議席を獲得しました。
また、安倍晋三首相は8月1日、浜田宏一内閣官房参与と首相官邸で会談し、10月の消費税率10%への引き上げをめぐり意見交換しました。浜田氏によると、首相は「リーマン・ショック級のことは起こらないだろう」との見通しを示し、予定通り増税する考えを説明したとのことでした。
10月の消費税率の引き上げに際しては軽減税率の実施、キャッシュレス化推進に向けたポイント還元の実施、低所得者・子育て世代対象のプレミアム付き商品券の発行などこれまでの消費税率引き上げ時にはなかった新たな対策も盛り込まれていますが、今回は消費税率引き上げに関する原則的な適用について説明します。
原則的な適用関係は消費税率が5%から8%に引き上げられた時と同様で、令和元年10月1日以後に資産の譲渡等及び同日以後に課税仕入れ及び保税地域から引き取られる課税貨物に係る消費税等については、経過措置が適用されるものを除き10%(軽減対象資産の 譲渡等については、8%)の税率が適用され、平成26年4月1日から 令和元年9月30日までの間に資産の譲渡等及び課税仕入れ等に係る消費税等については、8%が適用されることとなります。
したがって、令和元年9月30日までに締結した契約・注文に基づき行われる資産の譲渡等及び課税仕入れ等であっても、10月1日以後に行われるものは、経過措置が適用されるものを除き、10%が適用されることとなります。
- 施行日をまたぐ資産の譲渡等の例
1)事業者間で収益・費用の計上基準が異なる場合の取り扱い
A社が検収基準で仕入れを計上し、B社が出荷基準で売上を計上していて、施行日をまたぐ場合・・・・B社がA社に対して施行日前に行った資産の譲渡等ですのでA社においても旧税率の8%の消費税率が適用されます。
2)月ごとに役務提供が完了する保守サービスの適用税率
C社は保守サービスの年間契約を締結していており、20日締めで令和元年9月21日から10月20日までの保守サービスについて・・・・月ごとに役務提供が完了する場合、その役務が完了した日である10月20日における税率(10%)が適用されます。
3)9月中に料金を前受する場合
1年分の料金を前払いした場合・・・・資産の譲渡等の時期は物の引渡しを要するものにあってはその目的物の全部を完成して引き渡した日、物の引渡しを要しないものはその約した役務の全部を完了した日とされています。また、前受に係る資産の譲渡等の時期は現実に資産の譲渡等を行った日とされていることから、前受で料金を受領している場合でも、資産の引き渡し、役務提供の完了が10月以後のものは10%の税率が適用されます。(不動産賃貸についても同様です。)
- 請負工事や資産の貸付については経過措置が適用され、8%が適用される取引もあります。
(水田 裕之)