経営計画の要素である経営目標は、目的に向かっていくためにクリアーすべきものです。
目標には大きく2種類あります。
売上目標、利益目標といった数値で表せる成果目標(定量目標)と、成果に至るまでの過程に着目して、例えば業務マニュアルを作る、人材教育体制を整備する、システムを構築するといった目指すべき状態などの質的な行動目標(定性目標)です。
目標達成能力が高く成果に繋げている経営者に共通する行動特性(コンピテンシー※)は、定量目標と定性目標をうまく組み合わせた運用のようです。
※米ハーバード大学の心理学者D.C.マクレランド教授によって「学歴やIQのレベルが高い人材が必ずしも高いパフォーマンスを出すとは限らず、特有の思考パターンや性格、動機、行動パターンを取っていることが多い」と結論付けられた研究成果。
今号では、スタッフを上手に巻き込んで経営目標を達成している先進的な会社の取組事例をインタビュー形式でご紹介致します。
Q1.行動目標はどのように決めているのでしょうか?
Ans.外部環境(マクロ環境)を日々しっかり分析して掴んでいるのはやはり私(経営者)です。従って、大きな抽象的目標は、リーダーである私(経営者)が立てる必要があります。そこから先の個別・具体的な目標はスタッフに立てさせることが大切です。スタッフは当然に達成できそうな甘めの目標を設定しますので、それを少し引き上げるのが私(経営者)の役割です。
Q2.目標設定のポイントは何でしょうか?
Ans.スタッフにどういう役割を求めているか(スタッフ側からするとどんな役割を期待されているのか)を伝達・理解させ、明確に示すことです。きちんと達成の検証ができるように行動目標設定時のNGワードは下記の表の通りとしています。
NGワード | NG理由 |
努力する/目指す/頑張る | 目標達成の前提条件である表現 |
極力/可能な限り/できる限り | 達成基準が曖昧な表現・範囲が不明瞭 |
思う/考える/検討する | 達成検証(C)の際に評価しづらい表現 |
ここまで徹底すると目標が達成されたのに業績が上がらなかった場合は、目標が悪いので経営者の責任ということになり、私(経営者)自身が腑に落ちるとのことでした。
スタッフを上手に巻き込むことによる人間関係の質→スタッフの思考・意識の質→スタッフの行動・動機の質→成果の質という組織の成功循環モデルを上手く回す秘訣は「2種類の目標設定」「スタッフ巻き込み力」「NGワードの排除」にありそうです。
税理士 久保 康高