中小企業等が経営力向上のための営業力の強化、人材育成、設備投資、財務管理などの取組を記載した「経営力向上計画」を国に申請し、認定されることにより、中小企業経営強化税制(即時償却等)の適用や各種金融支援、補助金の優先採択等が受けられる。
この制度は、平成28年7月1日に施行された「中小企業等経営強化法」という法律です。施行から3年経過してしいるのに、なぜ今なのか、実はこの制度、今が利用のタイミングなのです。何故かというと、3年の間に多くの成功事例が出ており、国はこれら事例を惜しみなく公開しているからです。
この制度の目指す「経営力向上計画」の概要は以下のとおりです。
1)経営力向上とは
中小企業の経営力向上について国は次のような内容を示しています。
- 事業活動に有用な知識又は技能を有する人材の育成 ●財務内容の分析の結果の活
用 ●商品又は役務の需要の動向に関する情報の活用 ●経営能率の向上のための情
報システムの構築 ●他の事業者から取得した又は提供された経営資源との組合せる
つまり、企業が保有する経営資源(人、モノ、金、情報)を充実させ効果的に活用して目標を達成することが経営力の向上ということです。
2)「経営力向上計画」の目標
【計画期間】:3年から5年
【目 標】:労働生産性の伸び率 3年:1% 4年:1.5% 5年:2%
ただし、業種・事業規模を勘案して弾力的に目標を設定することができる。
労働生産性は原則として次のように計算する
労働生産性=(営業利益+人件費+減価償却費)÷労働者数
※実施に当たり配慮すべきこととして、国内の事業基盤の維持、人員削減を目的とした取り組みを計画認定の対象としない、小規模事業者への配慮等が規定されている。
3)経営力向上の指針
業種別、事業者の規模別(小規模・中規模・中堅)に次のような事項について指針が示され、各企業はこの中からいくつかを選択して経営力向上を図ることになっている。
経営状態の把握 | 仕入れ活動及び経営管理に関するIT及び設備の利用等 | 営業活動の強化 | 人材育成の強化 | 経営資源の組み合わせ |
また、業種別、規模別に成功事例が公開されているので、これらを参照できる。
4)サポート体制
国、認定経営革新等支援機関、中小企業基盤整備機構等のサポート体制について規定しており、いつでもこれら機関のサポートを受けることができる。
税理士 廣島 清量