年末調整とは、給与所得者のその年の源泉徴収を正しく計算し、所得税額を確定させる仕組みです。所得税は毎月の給与や賞与から天引き(源泉徴収)される際に、概算で計算されています。年末調整では、その年の1月1日から12月31日までの収入を対象に所得税を合計し、所得控除額などを計算し、所得税の過不足を計算します。
年末調整を行うためには給与所得者の扶養控除等申告書、保険料控除申告書、配偶者控除等申告書を必要に応じて従業員に配布し、記入して提出してもらい、その記載内容をもとに計算していきます。
ところで、給与の支払いを受ける人は毎年最初の給与の支払いを受ける日の前日までに扶養控除等申告書を給与の支払い者に提出しなければいけません。従って令和2年の最初の給与の支払いを受ける前に令和2年分の扶養控除等申告書を提出しなければいけないことから多くの会社では令和元年の年末調整時に「令和2年分の扶養控除等申告書」にも記載し、提出してもらっています。
令和元年の年末調整の計算自体は昨年から大きな変更はありませんが、令和2年から所得税の改正があるため「令和2年分の扶養控除等申告書」にも変更点がいくつかあります。
1.各種控除における所得の見積額の条件
イ 源泉控除対象配偶者に関する控除:95万円以下(改正前:85万円以下)
ロ 扶養控除・寡婦(寡夫)控除:48万円以下(改正前:38万円以下)
ハ 勤労学生控除:75万円以下(改正前:65万円以下)
ニ 配偶者特別控除:48万円超133万円以下(改正前:38万円超123万円以下)
※これらの変更に伴い、「扶養控除等申告書」に記載される説明・注意書き内の該当金額もそれぞれ変更されています。
2,単身児童扶養者の記載事項追加
住民税において単身児童扶養者のうち合計所得金額が135万円以下の場合に個人住民
税の非課税措置を受けることができることとなりました。
※単身児童扶養者とは児童扶養手当の支給を受けている児童と生計を一にする父又は
母でありかつ婚姻していない者等
※この改正により一番下の住民税に関する事項に単身児童扶養者欄が追加されました。
●令和2年の所得税の主な改正内容
(1.)給与所得控除の改正
※各種所得控除を受けるための扶養親族等の合計所得金額要件等が改正されました。
(2)基礎控除の改正
(3)所得金額調整控除の創設
※(2)、(3)の改正により「給与所得者の基礎控除申告書及び所得金額調整控除申告書」が新設されましたが来年の年末調整時に必要な書類になるため必要な時期に改めてお知らせします。
(水田 裕之)