年末調整の書類には、扶養親族に該当するご家族の情報を記載するための書類があります。ここには「配偶者控除」や「扶養控除」の対象者を記載していただくのですが、控除対象者に該当するには一定の要件があります。直接弊社の担当者と話しをする機会のある経営者の皆様や会計担当者の方は当たり前に知っている内容だとは思いますが、従業員さんの中には、特に書類の意味などわからずに単に家族構成を記載するための書類だと思っている方も少なくないかもしれません。かく言う私も昔は勤務先から毎年書類が配られておりましたが、何のために提出を求められているのやらさっぱり理解しないまま、作業的に名前と住所・印鑑だけ押して提出していたような気がします。
さて、なぜ今更になってこのような事を申しているかと言いますと、近年税務署から「扶養控除の見直しについて」という書類が会社に届く、もしくは配偶者控除や扶養控除の適用について確認の問い合わせを受けるといったケースが増えています。もちろん税務署もやみくもに書類を送ったり、問い合わせをしたりしている訳ではありません。計算の誤りの可能性があると指摘された人について改めてご家族の状況を確認してもらうと、やはり控除対象となるための要件を満たしていないことがほとんどです。
マイナンバー制度導入により、税務署が各人の所得の把握が以前に比べ容易になったということが大きな理由と考えられますが、パートとして外で働いている奥さん、学業と並行しながらアルバイトをしているお子さんなど、普段から一緒に生活しているとはいえ、自分以外の家族の収入がいくらかを正確に把握できていないケースは多いのではないでしょうか。
もし間違いが発覚しても1月末までは年末調整のやり直しができる
会社に提出された年末調整時の申告内容に間違いが発覚した場合、年末調整のやり直しをすることになります。間違いを正したことによる納付税額の増加は会社にその納税義務がありますので、一旦は会社が納税をすることになります。後日、その分を該当する従業員から徴収することになりますが、不思議なもので年末調整の還付を受けた後で、不足額を徴収されるとなると気分的には損をしたかのように錯覚してしまうものです。大学生などのお子さんがいる場合には「特定扶養控除」という63万円の所得控除を受けて年末調整をしているはずですので、後から認められないとなった場合の徴収額も大きくなるため特に注意が必要です。
もし提出後に間違いに気づいた場合には、翌年1月31日までは年末調整のやり直しが可能ですので、早めに弊社までその旨ご連絡ください。
(斎藤 勝)