令和2年3月29日(日)は、季節はずれの天候となり東京都心でも積雪となりました。この時期の積雪としては32年ぶりの観測だそうです。天候に加え、数日前の都知事の外出自粛要請も手伝い、3月最後の週末は渋谷や新宿といった地域でも週末とは思えないほどの閑散とした様子がニュースで取り上げられていました。その影響について、近くの飲食店に対してインタビューしている風景が目に留まり、インタビューを受けていたオーナーは、「お客の数は普段の半分どころか1/4~1/5。従業員の生活も守らないといけないので、国が補償してくれなければ、とても持たない・・」と嘆いていました。
労働者の休業手当補填やテレワーク導入に伴う費用補助、金融機関の実質無利子無担保での融資、法人税や消費税などの納税猶予など、世帯に対する現金給付、国も色々と手を尽くして雇用の維持や企業の廃業を食い止めようとしていますが、ここまで世界全体で感染が拡大している現段階においては、1ヶ月先、2ヶ月先の事さえどうなるか分からないといった不安に多くの人が駆られているのではないでしょうか。この危機を乗り越えるために、何をすべきかといった問いに対して明確に解決策を見出す事はできませんが、日本を代表する大企業トヨタ自動車が1兆円の借入枠の確保を金融機関に要請したというニュースにもあった様に、既に売上が減少傾向にある企業はもちろんですが、まだ大きな影響を受けていない産業であっても、将来に備えて今のうちに融資の申し込みをして資金を確保しておくという事は必要な経営判断の一つと言えます。
日本政策金融公庫ではコロナ感染症特別貸付として、要件が合えばこれまでにない有利な条件での融資を受けられるといった情報は以前に事務所通信でも発信しておりますが、既に弊社でもいくつかの顧問先様から相談連絡がきています。ただし、据え置き期間を設けて融資を受ければ、確かに急場はしのげるかもしれませんが、後には必ず返済が待っています。その時までには会社が危機以前よりも利益が残せる体質になっていなければ、遅かれ早かれ資金繰りは厳しくなってしまいます。
こんな情勢ですから、明るい話題などそうそう出てくるものではありません。ところが、中にはこの状況を乗り越えるために普段のオペレーティング業務からは離れ、新しい収益の種を模索するために時間を使うようにしているといった声や、これまでのやり方を再度見直すためにも、一旦全て壊れてしまった方が今まで気づかなかった新しい考えに出会える可能性があるので、不謹慎かもしれないが逆に良い機会になるかもしれない・・といった考え方を持っている方もいらっしゃるのです。
「不安」は人の原動力につながる大きな要素の一つのようです。平時であれば考える暇も、又、考える必要もないくらい忙しい毎日を送っていた経営者の方は、自社のビジネスモデルや将来について5年後、10年後にも成長し続けている会社になるために、リーマンショックを超えるのではと言われる今だからこそ、先の見えない大きな不安を原動力に変えて、じっくり考える時間を確保してみてはいかがでしょうか。その時はぜひ弊社の担当者にもお考えをお聞かせください。
(斎藤 勝)