令和2年4月20日に閣議決定された新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置(案)では、新型コロナウイルス感染症のわが国社会経済に与える影響が甚大なものであることに鑑み、感染症及びその蔓延防止のための措置の影響により厳しい状況に置かれている納税者に対し、緊急に必要な税制上の措置を講ずることとしています。4月27日に国会に提出され、4月中に成立する見込みです。
【国税】
①納税猶予制度の特例 ②欠損金の繰戻しによる還付の特例 ③テレワーク等のための中小企業の設備投資税制 ④文化芸術・スポーツイベントを中止した主催者に対する払戻請求権を放棄した観客等への寄附金控除の適用 ⑤住宅ローン控除の適用要件の弾力化 ⑥消費税の課税事業者選択届出書等の提出に係る特例 ⑦特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税
【地方税】
①徴収の猶予制度の特例 ②中小企業者等が所有する償却資産および事業用家屋に係る固定資産税等の軽減措置 ③その他国税の特例に係る地方税における対応
【納税猶予制度の特例(国税)・徴収の猶予制度の特例(地方税)について】
〇新型コロナウイルスの影響により事業等に係る収入に相当の減少があった方は、1年間、国税・地方税の納付を猶予することができるようになります。
〇担保は不要です。延滞税もかかりません。
「対象となる方」
以下の①、②のいずれも満たす方(個人、法人の別、規模は問わず)が対象になります。
①新型コロナウイルスの影響により、令和2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、事業等に係る収入が前年同期に比べて概ね20%以上減少していること。
②一時に納税を行うことが困難であること。
「対象になる税目」
・令和2年2月1日から同3年1月31日までに納期限が到来する所得税、法人税、消費税等ほぼ全ての税目(印紙で納めるもの等を除く)が対象になります。
・これらのうち、既に納期限が過ぎている未納の国税等(他の猶予を受けているものを含む)について遡ってこの特例を利用することが出来ます。
・社会保険料についても同様の特例が設けられます。
「申請手続等」
・関係法令の施行から2か月後又は、納期限のいずれか遅い日までに申請が必要です。
・申請書(現在準備中)のほか、収入や現預金の状況が分かる資料を提出していただきますが提出が難しい場合には口頭により説明することになります。
今後の状況次第でさらに変更される可能性もありますが、申請手続きをせずに納税をしないと延滞税の対象になる可能性があるので利用したいときはお問い合わせください。
(水田 裕之)