政府による追加経済対策が8日、閣議決定されました。菅首相は、日本の中小企業の生産性が諸外国に比べ低いことに懸念を示していると報道されておりますが、今回新たに創設が決まった補助金の内容も、こういった背景を色濃く反映していると思います。新しい補助金の名称は「事業再構築補助金」。企業が業態転換を行う際の設備投資費用を、最大1億円まで補助するといいます。
ちなみに、内閣の成長戦略会議の基礎資料によりますと、今回のコロナ感染拡大をきっかけに、業種・業態の転換を検討すると回答した企業は、大企業で13%、中小企業で22%となっており、転換を検討する企業が多い業種としては、飲食店51%、アパレル小売り48%、生活関連サービス43%、娯楽41%、道路旅客運送31%となっています。
ところで、いくら補助金がもらえるとは言っても、「業態転換が要件」と聞くと、会社にとっては非常に大きな変化が必要という印象を受ける方も多いのではないでしょうか。
業種・業態の転換事例
分野 | 業態 | 事業再構築の事例 |
飲食店 |
専門料理店
酒場・ビヤホール ラーメン店 すし店 |
都心の商業施設から郊外への移転
居酒屋業態から食事業態への転換 テイクアウトの導入 非対面販売への転換 |
生活関連サービス | クリーニング
エステ |
ネットクリーニングへの転換、郊外への移転
郊外への移転 |
娯楽 | フィットネスクラブ | オンラインへの転換 |
宿泊 | 旅館・ホテル | テイクアウトの導入、ケータリング事業への進出 |
自動車 | 自動車部品 | 自動車以外の業種への営業の強化 |
電子部品 | 抵抗器・コンデンサ・変成器 | 殺菌関連機器の開発・製造 |
電気機械 |
電子応用装置
家電 産業用電気機械 |
電子応用装置のレンタル
消費者への直接販売の増加 ウェブを活用したBtoCへの参入 |
いかがでしょうか?全く新しいことにチャレンジしなければ対象外という訳ではないという事がわかると思います。事業内容は同じでも、違った売り方、違った地域、違った顧客、これらの取り組みも業態転換の一つです。今回のことで、今までに無いほど自社の将来や事業について考えた社長も多いはずです。順調に事業がうまくいっている間は、考える必要も、考える機会もなかったかもしれませんが、ある経営者からは「今は大変だけど、会社の今後の事を色々考えるきっかけにはなった」という前向きなお話を以前お聞きしました。
(斎藤 勝)