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令和3年度税制改正大綱のうち、税務関係書類の押印について

令和2年12月21日に「令和3年度税制改正の大綱」が閣議決定されました。

ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現を図るため、企業のデジタルトランスフォーメーション及びカーボンニュートラルに向けた投資を促進する措置を創設するとともに、こうした投資等を行う企業に対する繰越欠損金の控除上限の特例を設ける。また、中小企業の経営資源の集約化による事業再構築等を促す措置を創設する。加えて、家計の暮らしと民需を下支えするため、固定資産税の評価替えへの対応、住宅ローン控除の特例の延長等を行うなうことを目的とし、具体的には「ウィズコロナポストコロナの経済再生」 「デジタル社会の実現」 「グリーン社会の実現」 「中小企業の支援、地方創生」 「経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し」 「経済のデジタル化への国際課税上の対応」 「円滑・適正な納税のための環境整備」の7本の柱から構成される大綱になっています。

7本の柱のうち、の「円滑・適正な納税のための環境整備」においては 税務関係書類の押印の見直しについて、以下の方針が示されました。

提出者等の押印をしなければならないこととされている税務関係書類について、次に掲げる税務関係書類を除き、押印を要しないこととするほか、所要の措置を講ずる。

(1)担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類

(2)相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類

(注1)国税犯則調査手続における質問調書等への押印については、刑事訴訟手続に準じた取扱いとする。

(注2)上記の改正は、令和3年4月1日以後に提出する税務関係書類について適用する。

(注3)上記の改正の趣旨を踏まえ、押印を要しないこととする税務関係書類については、施行日前においても、運用上押印がなくとも改めて求めないこととする。

このように税務署長等に提出する税務関係書類のうち、納税者等の押印を求めているものについては、国税、地方税ともに原則として、押印義務が廃止されることになります。

押印不要の対象には、所得税の確定申告書や法人税申告書、消費税申告書、相続税申告書をはじめ、各種届出書も含まれています。

例年1月より国会で審議され、3月に成立し、(注2)にある通り令和3年4月1日以後に提出する税務関係書類について適用されることとなりますが、(注3)にある通り施行日前においても対象となる税務関係書類については、押印がなくとも改めて求めないこととしており、国税庁においても12月21日に改めて「この閣議決定に基づき、全国の税務署窓口においては、本件見直しの対象となる税務関係書類について押印がなくとも改めて求めない」と成立前の適用開始を明らかにしています。従って3月15日が申告期限となる令和2年分の所得税確定申告書、贈与税申告書等についても押印が不要とされることになります。

(水田 裕之)

 

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