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相続土地国庫帰属法とは!

以前相続登記が義務化になりましたとお知らせいたしましたが、(事務所通信vol817)

同時に「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」も成立しました。

土地は大切な財産ですが、相続したものの、不要な土地・手放したい土地もあるのが現実です。

現行では不要な土地を手放す方法としては、他の財産も含め相続放棄するか、売却するなどの方法しかありませんでした。

「相続土地国庫帰属法」とは、相続・遺贈(遺言による贈与)によって得た土地を国に渡す法律です。

ただし、不要な土地ならどんな土地でも渡せるということではありません。かなり厳しい条件があるといえます。

具体的には、次の10項目のうち1つでも該当する土地は対象になりません。

  1. 建物の存する土地
  2. 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
  3. 通路等の他人による使用が予定されている土地
  4. 土壌汚染対策法に規定する特定有害物質により汚染されている土地
  5. 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲に争いがある土地
  6. 管理するのに過分の費用又は労力を要する崖のある土地
  7. 工作物、車両又は樹木が地上に存する土地
  8. 除去が必要な埋設物が地下に存する土地
  9. 隣地所有者と争訟によらなければ管理又は処分をすることが出来ない土地
  10. 以上に定めるほか、管理又は処分をするにつき、過分の費用又は労力を要する土地

要するに国は「土地の上に何もなく、もめごと等が何もない土地」のみ引き取るということです。

また、無料で引き取ってもらえるわけではありません。まず申請手数料がかかります。さらに申請が承認されれば、その土地の10年分の管理費用を納める必要があります。具体的な金額の算定方法は、別途政令で定められます。手続きを取る場合にはその前提として相続登記を済ませておく必要もあります。

「相続土地国庫帰属法」は令和3年4月28日に公布され、公布後2年以内に施行されます。つまり今現在ではこの法律を使うことはできません。今後2年間で実際の運用内容(どんな土地が国に引き取ってもらえるか、手数料や管理費はどれくらいになるか)が検討されることになるでしょう。土地の処分方法に選択肢が増えたことはよいことだと考えますがいかがでしょうか。

相続診断士 平林 明子

 

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