今号では2021年9月22日号【Vol.834】にてお知らせ致しましたインボイス制度に関するQ&Aを主要部分に絞ってお届けいたします。
Q.インボイス発行事業者の登録はどこかに公表されるのでしょうか?
A.「適格請求書発行事業者公表サイト」に公表されます。公表される内容は、
①適格請求書発行事業者の名称
②本店又は主たる事務所の所在地(法人のみ)
③登録番号
④登録年月日
登録を取り消した、または登録が失効した場合はその年月日も公表されます。
Q.インボイス事業者登録制度の意味って何ですか?
A.消費税を納付する際に計算する仕入税額控除の対象はインボイスしか認められなくなります。
つまり、登録番号がない請求書等について消費税を含めて支払いをしていたとしてもその消費税は納付する消費税を計算する時に差し引くことができないため、その分の消費税納付額が増えることを意味します。
Q.インボイス事業者登録に要件はありますか?
A.要件は消費税課税事業者であることです。消費税を納付しない事業者は登録対象外となります。課税売上が1,000万円未満の事業者でも届出書を提出することにより課税事業者となることは可能です。
Q.消費税免税事業者と想定される取引先(不動産オーナーを含む)へは制度導入前にどのように対応したらよいのでしょうか?
A.登録番号がない請求書等を発行すると想定される事業者への対応策は、双方の話し合いにより納付する消費税額が多くなってもその事業者との取引を継続するか、消費税分(いわゆる益税分)の請求をご遠慮頂いて両者公平になった上でその事業者との取引を継続するかを判断することになり、もし折り合いが付かない場合は、インボイス発行事業者へ取引先を変更検討することになります。つまり、支払者側が消費税について不利を被らないような対応をすることとなります。事業者の登録は任意であり強制はできませんので対応時には十分ご注意ください。導入後に登録番号がない面倒な請求書等を送らせないためにも事前に取引先を牽制することが大切になります。
Q.紙による書面でインボイスを交付しないといけないのでしょうか?
A.電子インボイスの整備が進んできており、適格請求書は、書面での交付に代えて、電子データで提供することが可能です。電子インボイスの提供方法として、例えば受発注に係るオンラインシステムを介した連絡(いわゆるEDI(Electronic Data Interchange)取引)、電子メール送信、インターネット上のサイトを通じた提供、記録用媒体での提供が可能で、誤記載・誤入力・誤発注防止による受注精度向上・受注人員削減のためこちらが今後主流になっていくと想定されます。
税理士 久保 康高