令和3年12月10日に令和4年度税制改正大綱が公表されました。
今回の改正は、新型コロナウイルス感染症への対応に万全を期しつつ、未来を見据え、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトに、新しい資本主義の実現に取り組むこととしています。
今回は中小企業に関係する改正について報告します。
1.積極的な賃上げを促すための措置
地域経済の中核を担う中小企業を取り巻く状況は、ますます厳しさを増しており、コロナ後を見据えて、生産性の向上や経営基盤の強化を支援していく必要がある。
このため、所得拡大税制を拡充し、賃上げを高い水準で行うとともに、教育訓練を増加させた場合に、給与支給額の増加額の最大40%を控除する。
※令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する事業年度において適用する。
支出 | 前期比の増加割合 | 控除率 |
雇用者給与支給額 | 1.5%以上 | 15% |
2.5%以上 | +15% | |
教育訓練費の額 | 10%以上 | +10% |
※ 控除税額は、当期の法人税額の20%を上限とする。
2.交際費の損金算入制度
交際費等の損金算入制度について、その適用期限を2年延長するとともに、中小法人に係る損金算入の特例の適用期限を2年延長する。また、接待飲食費に係る損金算入の特例の適用期限を2年延長する。
3.中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例制度
対象資産から貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用に供した資産を除外した上でその適用期限を2年間延長する。
4.少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度
対象資産から、取得価額が10万円未満の減価償却資産のうち貸付け(主要な事業として行われるものを除く。)の用に供した資産を除外する。
5.一括償却資産の損金算入制度
対象資産から貸付け(主要な事業として行われるものを除く。)の用に供した資産を除外する。
6.法人版事業承継税制
平成30年1月から10年間の特例措置として、令和5年3月末までに特例承認計画書の提出かなされた事業承継について適用されていたものが、今般の感染症の影響により特例承認計画の提出期限を令和6年3月末まで1年間延長するが、令和9年12月末までの適用期限については今後とも延長を行わない。
これらの改正は税制改正法案として来年国会に提出され、3月中に成立する見込みです。
(水田 裕之)