年金制度改正法(令和2年法律第40号)等の施行により、4月から年金制度の一部が改正されます。
◆繰下げ受給の上限年齢引上げ
老齢年金の繰下げ年齢の上限が75歳に引き上げられます(現在の上限は70歳)。
また、65歳に達した日後に受給権を取得した場合についても、繰下げの上限が10年
に引き上げられます(現在は5年)。
※年金の繰上げ・繰下げとは
老齢年金の受け取り開始は、60歳から70歳の間で選択できるようになっています。
原則65歳から受給する老齢年金を、65歳より早く受け取ることを「繰上げ」、
66歳以降に受け取ることを「繰下げ」といいます。繰上げをした場合は早く受け取
れるかわりに、65歳から受給する場合の年金額より減額されます。逆に、繰下げを
した場合は遅く受け取る分年金額が増額されます。
◆繰上げ受給の減額率の見直し
年金の繰上げ受給をした場合の減額率が、1月あたり0.4%に変更されます(現在は0.5%)。
◆在職老齢年金制度の見直し
60歳から64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度について、支給停止とならない範囲が拡大されます(支給停止が開始される賃金と年金の合計額の基準が28万円から47万円に緩和。65歳以上の在職老齢年金と同じ基準に)。
◆加給年金の支給停止規定の見直し
加給年金の加算対象となる配偶者が、被保険者期間が20年(中高齢者等の特例に該当する方を含む)以上ある老齢、退職を支給事由とする年金の受給権を有する場合、その支給の有無にかかわらず加給年金が支給停止となります(経過措置あり)。
◆在職定時改定の導入
現在は、老齢厚生年金の受給権者が厚生年金の被保険者となった場合、65歳以降の被保険者期間は資格喪失時(退職時・70歳到達時)にのみ年金額が改定されますが、在職中の65歳以上70歳未満の老齢厚生年金受給者について、年金額が毎年1回定時に改定が行われるようになります。
◆国民年金手帳から基礎年金番号通知書への切替え
国民年金制度または被用者年金制度に初めて加入する方には、「基礎年金番号通知書」が発行されることになります。既に年金手帳を所持している方には「基礎年金番号通知書」は発行されません。
社会保険労務士 神山真由美