「パーパス」という言葉が、2021年11月25日の日本経済新聞の一面のトップに掲載されるなど、最近よく目にするようになった。そこで今回は、パーパスの定義や注目される理由、パーパスを策定するメリットなどについて、調べてみました。
1)「パーパス(purpose)」とは
なぜ自分の会社が存在するのかを示す言葉で、日本語では「存在意義」と訳されることが多い。米ボストン・コンサルティング・グループでは、パーパスを「WHY(なぜ社会に存在するか)」と位置付け、「WHERE」(どこを目指すか)を示すビジョン、WHAT(何を行うべきか)を示すミッション、「HOW」(どのように実現するか)を示すバリューなどと分けて定義する。
2)パーパス(なぜ社会に存在するか)が注目される理由
パーパスが注目される理由としては以下のような時代背景があるとされています。
- VUCA(ブーカ=変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代
「VUCAの時代」とは、あらゆるものを取り巻く環境がめまぐるしく変化し、将来の予測が困難な状態が続いている時代のことで、このような時代、企業はパーパスを策定し、組織内で共有することで、一体感を生み、顧客や社会からの共感を得やすくなるという利点がある。
- 戦略・組織の多様化
近年、マーケットのグローバル化、価値観の多様化、多様な人材を登用し活用するなど、戦略・組織の多様化が進んでいます。戦略や組織が多様化したことで、企業としての価値観や判断軸を自然に共有するのが困難になりました。そうした状況を受け、従業員一人一人のベクトルをそろえるためのものとして、注目されているのがパーパスです。
- 社会的意義が重視される風潮
近年、企業の長期的成長のために「ESG(環境・社会・ガバナンス)」の観点で取組を行う企業が増加していることからも明らかなように、本業を通じて社会的課題を解決し、企業の成長や価値向上につなげていくという発想が主流になってきている。そのため、「社会とのつながり」「社会的意義」を重視するパーパスが、時代の要請に即したものとして注目されている。
以下に、日本経済新聞(2021年11月29日掲載)のパーパスの事例を掲げておきます。自社のパーパス策定の参考としていただければ幸いです。
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