相続税に基礎控除や、配偶者控除、相次相続控除などがあることは、何度かお伝えしてまいりました。今回は、障害者控除と未成年控除についてお話いたします。
お手伝いを始めたごく初期のころ、相続税の申告をご依頼いただき、計算がすみいざ申告という段階になった時に、実は相続人に障害者手帳を持っている者がいるのですがとお話しされたことがございました。お伺いする方といたしましては、お客様に向かって、障害者手帳をお持ちですか?とはなかなか聞きづらいところはございますが、その後は失礼を覚悟で初めの聞き取り時に確認をさせていただくようになりました。
障害者控除とは、相続人の心身に障害がある場合、相続税が減額される制度です。相続税の負担が、障害のある方の日常生活にまで影響を及ぼさないようにという税法上の配慮です。控除の対象となる障害者には「一般障害者」と「特別障害者」の二つの区分があります。
一般障害者は主に①身体障害者手帳上の障害等級が3~6級②精神障害者保健福祉手帳上の障害等級が2級または3級
特別障害者は主に①身体障害者手帳上の障害等級が1級または2級②精神障害者保健福祉手帳上の障害等級が1級などと決められています。
また、日本国内に住所があること、相続開始時に障害者であること、法定相続人であること、相続や遺贈により財産を取得したこと、85歳未満であることなどの要件があります。
相続が開始したことを知った日の年齢から、満85歳になるまでの年数1年につき一般障害者は10万円、特別障害者は20万円として計算します。85歳になるまでの年数が1年未満であるとき、または1年未満の端数があるときは1年として計算します。本人の相続税から控除分を引き控除しきれなかった分がある場合は、その人の※扶養義務者の相続税から引くことが出来ます。
未成年者控除の額は、その未成年者が満18歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した額です。また年数の計算にあたり、1年未満の端数があるときは、1年として計算します。(成人年齢が満20歳から満18歳に繰り下げられました。2022年4月1日以降)
なお本人の相続税から控除分を引き控除しきれなかった分がある場合は、その人の※扶養義務者の相続税から引くことが出来ます。
※扶養義務者とは・・一般的に、配偶者、直系血族および兄弟姉妹の他、3親等内の親族のうち一定の者をいいます。
ワンランク上の相続サポートを目指し、今後も皆様のお役に立てる事務所を目指します。
どうぞよろしくお願いいたします。
相続診断士 平林 明子