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予定納税と減額申請

今年に入ってからの急激な円安、原材料高騰や燃料コストの高騰などの影響で、大手企業を中心とした食料品などの値上げに関するニュースを目や耳にする機会が増えました。

中小企業白書2022年版によりますと、こういった動きは中小企業経営者が今年の経営状況を考える上で、今やコロナウイルスの影響を上回る不安要素となっているようです。

コロナウイルスの影響を大きく受ける事なくこれまで利益を出せていた会社や個人であっても、今後は経営にとって大きな負担になる事が懸念されます。

昨年は、飲食店に対する休業・時短要請協力金をはじめとした、各種支援金などもあり、コロナ禍にも関わらず過去最高税額を納める事となった事業者もいたのではないでしょうか。会社が納める法人税等や、個人が納める所得税等には、前年の年税額もしくは申告納税額が一定金額以上になった場合に、翌年の納税に備えて数回に分けて税金を前払いする、「予定納税」という制度があります。令和4年も、昨年と同じように利益が出ていればなんら問題なく納税は可能なはずなのですが、今年に入ってからは昨年のような継続的な支援金はなく、また、業績そのものが悪化しているといった理由により予定納税の税負担が大きくなるケースがあります。

いずれにせよ、予定納税はあくまでも税金の前払い。いずれ確定申告をして年間の税額が確定したのち、前払いが多ければ結果的に差額は還付されますので、損する・得する、という話ではないのですが、一時的に資金繰りが逼迫する要因にはなるため、できることならば今の状況を反映してほしいと思う事業者も多いはずです。

そんな時には、会社であれば「仮決算」、個人であれば「予定納税の減額申請」という手続きがあります。会社の仮決算とはその名の通り、当期の実績に基づいた仮の決算を申告することにより算出された税額が、予定納税額よりも少なくなるような場合に検討できます。法人税であれば半年に1度、事業開始から6か月を一事業年度とみなして計算します。

個人の予定納税の減額申請とは、その年の6月30日の現況で所得税等の見積額が予定納税額の算出の基となる基準額よりも少なくなる場合に、所轄の税務署長に「予定納税額の減額申請書」を提出し、承認されることにより受けることができます。

会社の場合の仮決算は法人税の場合6か月間の実績で税額を計算するのに対し、個人の所得税等の場合は、半年間の現況をベースとして年間の見積額を試算し、納税額を計算するという点が異なります。

第1期分(7月1日から7月31日納付)は7月15日までに、第2期分(11月1日から11月30日納付)の予定納税だけを減額する場合には、10月31日の現況に基づき見積額を計算し、11月15日までに減額申請を提出する必要があります。

(齋藤 勝)

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