「2022年版中小企業白書・小規模企業白書」が4月26日に公表されました。白書は感染症の流行や原油・原材料価格の高騰等の外部環境に直面する中小企業・小規模企業の動向、中小企業・小規模企業のそれぞれが自己変革に向けて、新たな挑戦を行うために必要な取組について分析を行っている。
分析のテーマとして①中小企業における足下の感染症への対応 ②企業の成長を促す経営力と組織 ③小規模事業者における事業見直し・地域課題の解決 ④共通基盤としての取引適正化とデジタル化、経営力再構築伴走支援を掲げている。
テーマの中の「経営力再構築伴走支援」で経営者自らが自己変革を進めるためには、支援機関との対話を通じて経営課題を設定することが重要であるとして、課題「設定」型伴走支援モデルが中小企業・小規模事業者の成長力を高める可能性がある今後の有効な施策であると分析している。以下、要約してみました。
- 課題設定型経営力再構築伴走支援モデル
経営環境が激変し、先を見通すことが困難な時代においては、しっかりと経営課題を見極め、進むべき道を描いていくことが必要である。
①中小企業・小規模事業者に対する第三者の支援の必要性
中小企業・小規模事業者が経営改善や成長を目指す場合にその限られた経営資源では、これを経営者が独力で行うことは難しい。そこで、第三者による支援が重要となる。
〔経営者、支援者がとるべきプロセス〕
(入口)経営課題の設定 → 課題解決策の検討(出口)→ 実行 → 検証
◆入口と出口は行ったり来たり(PDCAを廻す)
◆支援者の参加で継続の確率が高まる
◆支援者とは、認定経営革新等支援機関である会計事務所、中小企業診断士、商工会等国の機関など
②経営課題の設定に対する支援の重要性
従来の経営環境が比較的安定していた時代には経営課題もある程度共通していたので、経営課題がどこにあるのか見極めるプロセスをしっかり行わなくても課題解決策が大きく外れることはなかった。中小企業・小規模事業者が直面する経営課題を解決するために補助金申請サポートのような経営課題「解決」型伴走支援も行われてきた。
近年のような経営環境の変化が激しく複雑な時代は企業の直面する課題は様々であり、経営課題を解決するためには、経営課題が何であるかということについて、正確な分析が必要になる。そのためには、経営者(特定の社員等)、支援者とも納得がゆくまで対話と傾聴を続けることが重要となってくる。
なお、支援の最終目的は経営者の自己変革力、自走化を引き出し経営力を強化・再構築することである。
税理士 廣島 清量