国税庁は7月1日に令和4年1月1日時点の路線価を公表しました。
- 路線価とは
相続税や贈与税において土地等の価額は、時価により評価することとされています。しかし、納税者が相続税や贈与税の申告に当たり、土地等について自分で時価を把握することは必ずしも容易ではありません。そこで、相続税等の申告の便宜及び課税の公平を図る観点から、国税局(所)では 毎年、全国の主な道路に面した1平方メートルあたりの土地等の評価額の基準となる路線価を定めて公開しています。
路線価は、1月1日を評価時点として、1年間の地価変動などを考慮し、地価公示価格等を基にした価格の80%程度を目途に定めています。
ただし令和2年のように1月1日時点から状況が大幅に変わり、広範な地域で路線価が時価を上回る(大幅な地価下落)状況が確認された場合には路線価の補正が行われる場合もあります。
また、路線価と取引価格の間に乖離がある場合には、納税者が不動産鑑定士による鑑定評価額などに基づき、相続等により土地等を取得した時の時価により評価することもできます。
路線価図等は、国税庁ホームページで平成28年分から令和4年分まで掲載されているほか、全国の国税局や税務署等で閲覧することもできます。
- 令和4年の路線価の状況
令和3年においては、新型コロナウイルスの影響で商業地・観光地が軒並み下落したため6年ぶりにマイナスとなっていましたが、令和4年については調査対象となった全国およそ31万7000地点の全国平均では2年ぶりに0.5%の上昇に転じました。
全国的にはコロナ禍からの回復基調にあり、増加に転じる地域や下落幅が減少している地域が多くなっています。
都道府県別の平均では20の都道府県で昨年を上回っていて、上昇幅が大きかったのは北海道(+4.0%)、福岡県(+3.6%)、宮城県(+2.9%)などで、下落した27県のなかで下落幅が大きかったのは和歌山県(-1.3%)、愛媛県(-1.1%)、群馬県(-1.0%)となっていますが、下落した27県のなかで23県は前年比で下落幅は縮小に転じています。
エリア別においては、商業地、住宅地などは全国的に前年の下落傾向から回復してきていますが、インバウンドの喪失の影響が大きかった地域ではなかなか回復していないところがあるほか、大企業のオフィスが集まる都内の千代田区や中央区等でも下落が続いていて、都心のオフィス街ではリモートワークの普及など働き方の大きな変化を受けてオフィスを見直して集約するような形をとる企業が増えたことが影響していると見られていて、引き続きコロナ禍の影響を受けている地域もあるようです。
(水田 裕之)