国税庁は令和4年7月29日にインボイスコールセンターに寄せられたインボイス制度に関する質問のうちお問い合せの多い項目について集約した13問のQ&Aを公表しました。以下、今号ではその中の適格請求書(インボイス)発行事業者の登録制度に関する質問に絞って一部を抜粋・要約してご案内いたします。
(登録申請のスケジュール)
問4 インボイス制度が始まる令和5年10月1日から登録を受けるためには、いつまでに登録申請書を提出すればよいですか。
【答】インボイス制度が始まる令和5年10月1日から登録を受けようとする事業者は、原則として、令和5年3月31日までに納税地を所轄する税務署長に登録申請書を提出する必要があります。
なお、免税事業者が登録を受けるためには、原則として、消費税課税事業者選択届出書を提出し、課税事業者となる必要がありますが、適格請求書発行事業者登録者登録簿に登載された日が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中である場合は、課税事業者選択届出書を提出しなくても、登録を受けることができます。
(簡易課税制度を選択する場合の手続き等)
問6 免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合には、登録を受けた日から課税業者になるとのことですが、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができますか。
【答】簡易課税制度は、課税期間の基準期間の課税売上高が5,000万円以下であり、原則として、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出している場合に適用することができます。登録日から課税事業者となる経過措置の適用を受ける免税事業者は、登録日の属する課税期間中にその課税期間から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載した「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した場合には、課税期間の初日の前日に提出したものとみなされます。
(登録の任意性)
問8 当社は、軽減税率対象品目の販売を行っていませんが、適格請求書発行事業者の登録を必ず受けなければなりませんか。
【答】適格請求書を交付できるのは、登録を受けた適格請求書発行事業者に限られますが、適格請求書発行事業者の登録を受けるかどうかは事業者の任意です。
ただし、登録を受けなければ、適格請求書を交付することができないため、取引先が仕入税額控除を行うことができませんので、このような点を踏まえ、登録の必要性をご検討ください。また、適格請求書発行事業者は、販売する商品に軽減税率対象品目があるかどうかを問わず、取引の相手方(課税事業者に限ります。)から交付を求められたときには、適格請求書を交付しなければなりません。一方で、消費者や免税事業者など、課税事業者以外の者に対する交付義務はありませんので、例えば、顧客が消費者のみの場合には、必ずしも適格請求書を交付する必要はありません。このような点も踏まえ、登録の必要性をご検討ください。
税理士 久保 康高